入社先を決めた理由で、「社員の魅力」が減少。 「事業内容」がはじめてトップに。
企業の内定者を対象に、入社予定企業について、「その企業に入社を決めた理由(単一回答)」を訊ねたところ、「事業内容」が最多となり(17.9%)、次いで「社員の魅力」(16.9%)、「企業理念・価値観」(11.2%)の順となった。「社員の魅力」は2013年卒を対象におこなった調査以降、ずっと最多であったが、今回はじめて「事業内容」が上回った。10年前の調査結果と比較すると、「社員の魅力」が半分近くまで減少し(29.1%→16.9%)、「事業内容」が増えている(11.0%→17.9%)ことがわかる。Q.その企業に入社を決めた理由(単一回答) 上位5項目
【2013年卒】 【2023年卒】
1位 社員の魅力 29.1% 1位 事業内容 17.9%
2位 社風 15.7% 2位 社員の魅力 16.9%
3位 将来性・成長性 12.3% 3位 企業理念・価値観 11.2%
4位 事業内容 11.0% 4位 仕事内容 11.0%
5位 仕事内容 10.8% 社風 11.0%
10年前からの変化=就社から就職へ、就職活動生のキャリア観の変化が背景に。
ヒューマネージは本アンケート調査を毎年実施しており、入社先を決めた理由(単一回答)について、2013年卒~2023年卒の推移は以下のグラフとなる。「社員の魅力」「社風」は、2013年以降、減少傾向にあり、他方「事業内容」は徐々に増えていることがみてとれる。(画像「Q.その企業に入社を決めた理由(単一回答) 2013年卒~2023年卒の内訳」参照)
【弊社の考察】
その企業に入社を決めた理由として、ずっとトップだった「社員の魅力」が第2位となり、「事業内容」がはじめて最多となりました。今年の結果のみをみると、コロナ禍の影響(就職活動がオンラインになり、社員とのリアルな接点が減ったから、等)が思い浮かびますが、そうではなく、10年前からの推移を辿ると、「社員の魅力」「社風」はずっと減少傾向にあり、「事業内容」は増加傾向にあったことがわかります。
2013年卒以降、「社員の魅力」「社風」が減少し、「事業内容」が増え続けているのは、この10年間でいわゆる就社から就職へ、就職活動生のキャリア観が変化していることが要因と考えられます。社会人としてはじめて働く会社・仕事を指す“ファーストキャリア”という言葉が一般的になり、新卒でどのような会社に入るか?仕事をするか?はその後のキャリア形成において重要であるという認識が広がっています。一方で、ジョブ型雇用や新卒採用における配属先確約をおこなっているのはまだ一部の企業であり、就職活動生の側も、詳細な職務内容=ジョブのレベルで希望する仕事が明確になっているのは、ごく少数です。そのような状況下、現時点では、やりたいこと・自分にあった希望の仕事≒「事業内容」と捉えていると思われます。
さらに、本アンケート調査に記された内定者のコメント——「事業内容がどのように役立っているかを説明し、そこにやりがいを感じている社員の様子に惹かれた」(入社予定先:素材・エネルギー・その他製造)、「事業内容はもちろん、社員の方々から感じる一貫した使命感ややりがいなどにも魅力を感じた」(入社予定先:金融)——を見ると、「事業内容」と「社員の魅力」はつながって存在していることがわかります。自社の事業内容に感じる魅力を、自分の言葉で語れること。事業内容から紐づけて、自分の仕事を、そしてキャリアを伝えられること。働く社員の方々が、事業内容と自身のキャリアを等身大に伝えられることが、採用~入社後の定着のために、ますます求められるのではないでしょうか。
弊社はこれからも、実践的なソリューション提供を通じ、各企業様の“らしさ”が伝わるご支援を通じて、よりよい採用/就職の実現に貢献してまいります。
【調査概要】
内容:就職活動に関するアンケート
対象:ヒューマネージが提供する採用管理システム「i-web」ご利用企業の内定者の方々
有効回答数:
2013年卒 1,774名 2018年卒 9,425名
2014年卒 4,322名 2019年卒 8,821名
2015年卒 4,761名 2020年卒 7,983名
2016年卒 6,021名 2021年卒 7,020名
2017年卒 7,802名 2022年卒 8,314名
2023年卒 7,851名