ストレスの原因のうち、「あなたの技能の活用度」に大きな差。 直近の3年間で、若年層は“良化”に転じ、ミドル・シニア層は“悪化”傾向続く

従業員のこころの健康状態を測定するストレスチェック。従業員50名以上の企業は、年1回の実施が義務づけられ、不調が顕著に出ている従業員には、医師による面接指導を勧めるなどの対応が求められる。

ストレスチェックでは、ストレスの状態だけでなく、ストレスの原因(ストレッサー)についても測定している。測定される9項目――「心理的な仕事の負担(量)」「心理的な仕事の負担(質)」「自覚的な身体負担度」「職場の対人関係でのストレス」「職場環境によるストレス」「仕事のコントロール度」「あなたの技能の活用度」「あなたが働いている仕事の適性度」「働きがい」――について7年前(2018年)と2024年を比較したところ、ほとんどの項目が長期的には良化あるいは同水準で推移するなか(図①②)、唯一、自分の持っている技術や知識、資格などが仕事で活用されていることを示す「あなたの技能の活用度」のみ、長期的に悪化していた。(図③)

「あなたの技能の活用度」について、さらに年代別に推移を確認すると、2021年まではどの年代も悪化傾向にあるが、直近の3年間で、20代・30代は“良化”に転じる一方、40代・50代は“悪化”傾向が続くあきらかな差がみられた。(図④)

弊社の考察

2019年からの働き方改革関連法の施行、健康経営®*の広がり等により、職場のストレスの原因は概ね改善傾向にあります。そのなかで唯一、自分の持っている技術や知識、資格などが仕事で活用されていることを示す「あなたの技能の活用度」のみ悪化傾向が見られ、さらに直近の3年間では、若年層(20代・30代)は「良化」に転じ、ミドル・シニア層(40代・50代)は「悪化」傾向が続くという、あきらかに異なる結果が得られました。

人材獲得競争が苛烈さを増し、人手不足倒産も珍しくないなか、社員の採用~定着を叶えるため、とりわけ若年層に対しては、会社都合ではなく、本人の希望するキャリアを支援するスタンスへ、企業が変わりつつあります。加えて、新卒採用でもジョブ型(職種別)採用が広がったり、転職で希望の仕事につきやすくなるなどの変化もあり、若年層が自身の技術や知識、資格などを仕事で活かせているのはポジティブな変化といえます。

一方、ミドル・シニア層は、コロナ禍によりDX化が急激に進み、仕事環境が大きく変わるなか、従来のやり方が通用しなくなったり、“リスキリング”を迫られるなど、自身の技能を活用できている実感が低下しているものと考えられます。実際、企業の人事の方からは「技能の活用度について、50代以上が感じる不全感は、わが社でもよくみられる傾向です」とのお声もいただいており、昨今、ミドル・シニア層のキャリア形成において、「ジョブ・クラフティング(自ら仕事を再創造する力)」が注目されていることも、その一環と思われます。

ストレスチェックは、それ単体で全体の傾向を把握するだけでなく、健康診断結果やエンゲージメント・サーベイの結果とかけあわせて、サポートを必要としている層や個人を把握することが必要と考えられます。社員の健康管理においては、こころもカラダも、年代別に違いが出るため、きめ細かい状況把握と対象者に応じた施策の実践が不可欠であり、その長期的な推進が組織の成長につながっていくものと思われます。
*健康経営®は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

【分析対象】
調査時期:
2018年実施分(2017年12月~2018年11月)から2024年実施分(2023年12月~2024年11月)までの7年間
調査票:
ストレスチェック『Co-Labo』 (『職業性ストレス簡易調査票』+独自設問が追加された調査票)
健康経営サーベイ『Seeds』/エンゲージメント・サーベイ『Qraft』
対象者数:4,365,239名(延べ)

健康管理システム『HealthCore』(ヘルスコア)
健康管理システム『HealthCore』は、従業員の健康データの一元管理や業務効率化の実現はもちろん、データを活用し、戦略的に健康経営を実践するための健康管理システムです。(開発:株式会社ヒューマネージ)。
>>サービスサイトは下記よりご覧ください。
https://healthcore.humanage.co.jp/

株式会社ヒューマネージについて;
社名:株式会社ヒューマネージ https://www.humanage.co.jp/
代表取締役社長:齋藤 亮三
創業:1988年11月10日(設立:2004年12月1日)
資本金:50百万円
本社所在地:東京都千代田区紀尾井町4-1 ニューオータニ ガーデンコート 18階
主要事業:ウェルビーイングソリューション事業、採用ソリューション事業、適性アセスメント事業
技術・知識等を仕事で「活かせている」20・30代。40・50代は「活かせていない」と感じる傾向強まる