~近年注目を集める“プレゼンティーズム”評価に関して、3万人の大規模調査の研究成果を発表~

株式会社保健同人社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:中島 敏樹、以下保健同人社)と株式会社ヒューマネージ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:齋藤 亮三、以下ヒューマネージ)は、「プレゼンティーズム評価とストレスチェック結果との関連性」について、NPO法人健康経営研究会 理事長 岡田邦夫先生と共同研究を行いました。

“プレゼンティーズム”とは;
これまで、企業におけるメンタルヘルス支援は、主に“アブセンティーズム”と言われる「欠勤や休職など、心身の不調により出社できない状態」の従業員を対象として、予防と対策が講じられてきました。しかし近年、 “プレゼンティーズム”(出社しているにもかかわらず、心身の健康上の問題でパフォーマンスが落ちている状態)が注目を集めており、健康経営優良法人(ホワイト500)*認定においても重要な指標となっています。

メンタルヘルス支援施策のなかで、“プレゼンティーズム”をどのように把握し、効果的にアプローチしていくか。これからの企業の生産性向上における、この重大な課題を解決するべく、保健同人社とヒューマネージは、2018年、NPO法人健康経営研究会 理事長 岡田邦夫先生と共同研究を実施。約3万人の従業員の方々に対して、ストレスチェックと同時に“プレゼンティーズム”評価に関する大規模調査をおこないました。

*「健康経営優良法人」は、経営産業省が創設した認定制度。特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する。うち、「ホワイト500」は大規模法人部門の認定法人を指し、2018年の認定企業は541社(2018年5月1日現在)。

全従業員のうち、9割もの従業員がパフォーマンスの低下を実感。
「25%以上パフォーマンスが落ちている」従業員も、2割存在。
過去4週間の仕事について、通常の状態を100%として評価してもらったところ、「100%の状態で勤務できている」と回答した割合は、約1割。9割もの従業員が、パフォーマンスの低下を実感していることがわかりました。
さらに「50%未満」と回答した従業員も5%存在しており、“プレゼンティーズム”の問題は「ほとんどすべての従業員におこっている」といえます。

仕事の適性度や働きがい、ストレスの原因への対処傾向、人づきあいの技術が、
生産性に大きく影響。
次に、ストレスチェックの結果と“プレゼンティーズム”評価の結果を比較したところ、「ストレスチェックの高ストレス者は、そうでない人に比べ、パフォーマンスが低い層に分布している」傾向が見られました。
さらに、“プレゼンティーズム”の指標で「注意群」(パフォーマンスが低下しているグループ)と「良好群」(パフォーマンスが問題なく発揮できているグループ)に分け、

A) ストレスの原因と考えられる因子
B) 本人の持つ、ストレスの原因への対処傾向(コーピング)
C) 本人の持つ、ソーシャルスキル
D) ストレス反応(ストレスによる心身の変化)

の項目について、平均値を比較分析したところ、以下の結果が得られました。

「睡眠の質」(睡眠時間が十分に取れているか、就業時間中に眠気を感じるか)が、生産性に大きく影響。
プレゼンティーズムに関連のある健康リスク要因についても調査を実施しました。
“睡眠リスク”の結果と“プレゼンティーズム”評価の結果を比較したところ、「睡眠時間が十分に取れていない人や就業時間中に眠気を感じる人は、そうでない人に比べ、パフォーマンスが低い層に分布している」傾向が見られました。

NPO法人健康経営研究会 理事長 岡田邦夫先生の考察 ――――――――――――――――――――
“プレゼンティーズム”(疾病就業)は、近年、組織の活性度・労働生産性を測る指標として注目が高まっています。今回の調査研究では、ストレスチェックとプレゼンティーズム評価を同時に行い、パフォーマンスの低下に影響を与える要因を特定することができました。

健康リスクを改善し、職場のストレスを低減すること、具体的には、睡眠(時間ではなく、熟睡感―睡眠負債のない睡眠の確保)と職育(従業員のプロフェッショナルとしての育成―上司の支援)が重要であること。そして、従業員の健康づくりを基盤として、働かせ方を効率よくすること、つまり職務適性、職場環境などを考慮することこそが、健康経営に繋がる重要な要素であることが立証された結果になります。

本調査結果をもとに、組織の生産性向上、健康経営実現に向けた更なる活用が望まれます。
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