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海外赴任者のメンタルヘルス対策が会社を守る

〜メンタルヘルス予防の為に企業がすべきこと〜

インフォコム株式会社
ヘルスケア事業本部 ヘルスケアサービス部 加賀美 英夫 氏

企業のグローバル化により、海外で働く人が年々増えています。しかしそんな中、職場要因や生活環境の変化によって、海外赴任中の駐在員が心身に不調を訴えたり、業務上でトラブルを起こすなど、海外事業の展開に影響を及ぼすリスクも増加しています。従業員のメンタルヘルス疾患が企業に与える影響は決して小さくはありません。そこで今回は、インフォコム株式会社の加賀美英夫氏より、効果的な海外駐在員のメンタルヘルス対策をご説明いただきました。

海外赴任者の62%がストレスを感じている

本日は、メンタルヘルス対策において企業がすべきことをお話いたします。皆様にお伝えしたいことは主に3点です。1つ目は「海外赴任におけるメンタルヘルス未対策は経営リスクである」ということ。2つ目は「海外赴任者は高いストレス状態にある」ということ。3つ目は「海外に即したメンタルヘルス対策が必要である」ということ。 企業のグローバル化の加速に伴い、2013年は現地法人が24,800社にのぼり、海外赴任者は帯同家族を含めると40万人強を数えます。そんな中、ある調査によると62%の人が海外赴任中にストレスを感じたと回答しました。その原因について、「言葉の壁・コミュニケーションのとりにくさ」「文化・価値観・考え方の違い」「生活環境の変化・生活習慣の違い」が多く挙げられています。なかにはうつ病や自殺に至るケースもあり、企業のグローバル展開に伴って海外赴任者のメンタルヘルスが深刻になってきているのです。

海外でストレスを引き起こす8つの要因

  1. 異なる言語…日本語が話せないというのは、生活面・仕事面においても大変不自由。
  2. 生活習慣や価値観の違い…宗教的な問題なども含めたさまざまな異なる状況に戸惑う。
  3. 気候…酷暑や厳寒など日本と比べ過ごしにくい土地が多い。
  4. 健康や医療に対する不安…日本のようなレベルの高い医療機関が少ない。
  5. 生活上での不安…中国を代表するように、国民感情で日本人が締め出されることがある。また発展途上国など治安の悪い地域も少なくない。
  6. 日本と異なる職場…現地社員は意欲・意識の面で日本人と異なる。またそういう人たちを上手に使いながら業績を達成しなくてはいけないというプレッシャーもある。
  7. 帯同家族の影響…仕事から帰ってきたときに配偶者が家にいると安心するということで、最近は配偶者の帯同を義務付けている企業もある。しかし逆に配偶者のほうがストレスを抱えて、メンタル不調を起こすケースも。また家族を日本に残して単身赴任をする場合のストレス。
  8. 帯同家族の環境…帯同家族も大変ストレスを抱えている。「私たちは籠の中の鳥状態」といった声も聞かれ、家にポツンと一人でいることで孤独やストレスを感じる。

海外赴任者のストレス状態

海外赴任では仕事のストレスが多様化しており、また仕事を離れても日常生活におけるストレス要因がたくさん存在します。そうしたさまざまなストレスを緩衝するために何が必要かというと、自分の身の回りにおける支援です。日本にいれば親戚や友達など色々な人間関係が手を差し伸べてくれます。しかし海外はどうしてもコミュニティが狭いので、支援の限界があり、そういった状況の中で海外赴任者は急性ストレス反応を起こしやすい傾向にあります。またそのストレス反応は自殺未遂など大きな症状が多いです。

海外の精神障害の事例〜抑うつ反応(政府系団体職員/35歳 男性)

インドネシア赴任後、一年くらい経過して、「体調不良」という理由で欠勤が目立つようになる。上司の話では、最近元気がなく、仕事にも集中力がなく、ミスが目立ち、注意をするとうつむいて沈黙するのみ。時には涙ぐむことがある。赴任時は元気があり、飲み会でも率先してカラオケを歌っていたという。同期の仲間によると、「自分は外国での仕事についていけない」、「周りに迷惑ばかりかけている」と言っているとのこと。性格は几帳面で、融通がきかず、あまり社交的でないタイプである。妻の話では、よく眠れない、食欲もない、ここ2カ月で5キロ痩せたとのことである。

【コメント】:典型的な抑うつ反応であると思われる。一時帰国して休養と治療をすることが望ましいが、その際、本人の挫折感を高めないような配慮が必要である。自殺の危険性にも注意を要する。

この事例のように、本人が希望して海外赴任した人は大丈夫だと思いがちですが、実際最初は張り切っている人が抑うつ状態になってしまうケースも少なくありません。
つまり誰でもなる可能性があることを理解しておく必要があります。

レポートはまだ続きます。気になる内容の続きはダウンロードしてお楽しみください。

提供:インフォコム株式会社

加賀美 英夫 氏

インフォコム株式会社
ヘルスケア事業本部 ヘルスケアサービス部
加賀美 英夫 氏

インフォコム株式会社にてヘルスケア事業領域の事業企画を担当。長年、健康保険組合向け事業の立上げを推進。健康保険組合に、保健事業コンサルタントとして健保組合加入者(被保険者・被扶養者)の健康増進計画を企画・立案。現在、健康・予防の知見を活かして東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野の川上憲人教授と産学共同研究で海外駐在員向けのストレスチェック問診票を開発中である