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グループ企業におけるブランディング活動

〜企業理念「The JTB Way」の浸透化〜

株式会社ジェイティービー
ブランド戦略推進室 室長 水谷 初子 氏

創立から100年を超えたJTBグループ。次の100年に向けて新たな価値を創造するため、「総合旅行業」から「交流文化事業」へと事業領域を拡大しています。その中で、グループブランド体系「The JTB Way」を全グループ社員へ浸透させるためのインターナルブランディングの活動を事例と共にご説明します。

JTBグループの概要

JTBは1912年に創立され、2012年に創業100周年を迎えました。現在、従業員数が2万6千名、事業会社が174社(国内71社、海外86社、持分法適用会社 17 社)です。2006年には機能別、エリア別に分社化し、グループ経営に移行しました。さまざまな事業会社群があり、主に旅行業に特化した事業会社群、法人向けのソリューションを提供する事業会社群、また本サミットのテーマであるHRのソリューションを提供する事業会社群に分かれています。

分社化前のJTBは、「総合旅行業」を展開していましたが、現在は「交流文化事業」を事業ドメインとして活動しています。各事業会社群が「Team JTB」として、それぞれの機能を果たし、お客様の感動と喜びのために、JTB独自の商品やサービスを提供する。そうして、さまざまな人々の交流を創造していくことで、豊かな社会を生み出すグループを目指しています。

ブランド戦略推進室の機能と取り組み

2010年に創業100周年に向けて、コーポレートブランドの強化とグループ全体の一体感を高めることを目的として、ブランド戦略推進部が設立されました。その後、2013年に社長直轄のCSR推進機能として設立されたのが、ブランド戦略推進室です。

今年は中期経営計画3年目となりますが、次の2つの基本方針に基づいて進めています。「『The JTB Way』の考え方に基づくマネジメントの浸透」と「JTBブランド価値の最大化」です。具体的には、社員一人ひとりが「The JTB Way」の考え方に基づくマネジメントを理解して行動している状態を目指すということ、「『総合旅行業』のJTBから、『交流文化事業』を展開するJTBグループへ」をブランディングの目標として掲げ、さらに、JTBの「感動のそばに、いつも。」というブランドスローガンを社員一人ひとりが体現し、お客様に感動を届けることで、社員自身の喜びや仕事に対する誇りにつなげていくことを目標にしています。

そうした中、ブランド戦略推進室では大きく分けて3つの観点からブランディングを進めています。1つ目は「インターナルブランディング」です。こちらは、先ほど申し上げたように、グループ社員に対して「The JTB Way」の考えに基づくマネジメントの浸透を図っています。また、JTBグループ社員としてのブランド意識をしっかりと持ってもらうことで、結束力の強化も狙っています。2つ目は「エクスターナルブランディング」です。各ステイクホルダーに対して「交流文化事業」の理解促進と共感づくりを行っています。また、3つ目として各グループ内での「ブランド管理」も行っています。

JTBにとってのブランドの役割

お客様に対しての約束を定め、それを社員一人ひとりが守り続けることによって生まれる「信頼の絆」。これがJTBブランドの定義です。ブランド価値とは、お客様の期待どおりの価値を常に提供すること。つまり、お客様の期待を絶対に裏切らないということです。そこで、私たちはお客様に何を約束するのかを明確にして「The JTB Way」に落とし込み、それを守り続けるためにはどうしたらいいかを考える流れをつくっています。

また、ブランディングとは、経営戦略としても重要な意義を持ちます。JTBグループにおいて、最大の経営資源は人財であり、社員一人ひとりがブランドの体現者です。社員個々の意識を変えることによって、サービスや行動の質が高まり、それによってお客様との「信頼の絆」も深まり、ブランド価値の向上につながると考えています。

「The JTB Way」策定のプロセス

創業100周年を迎えるにあたり、新たに経営や行動の指針を「The JTB Way」として定めました。これは、「旅」を原点としたJTBのブランド価値を大切にしながらも、次の100年に向けて新たな価値を生み出していく必要があるとの背景から生まれたものです。

まず、2008年にグループ本社の各室部のメンバーが横断的に集まり、戦略的ブランディングプロジェクトという組織をつくりました。翌2009年に全グループ社員を対象にJTBグループとして何を大切にしていきたいかというテーマでアンケートを実施。その結果をもとに2010年に「The JTB Way」を策定しました。こうしたプロセスを経たことにより、「The JTB Way」は、社員一人ひとりの意見を反映したものとなりました。

それと同時に、グループ企業各社にて「ブランドアンバサダー」というブランド推進担当者を任命し、さらに国内、海外においてタウンミーティング(対話集会)を開催。各グループ企業のトップから社員に対して、改めてブランディングの重要性を説いてまわったほか、100周年を機にJTBの歴史をまとめたDVDを制作し、長年受け継がれてきた企業のDNAを社員に視覚的に伝えました。

2011年からは「The JTB Way」を対外使用することとなり、グループ企業各社に経営理念とお客様への約束を記したクレドカードを配布しました。このクレドカードは、グループ各社それぞれの事業内容に応じて独自のブランドメッセージを記載したものです。このカードを常に携帯することで社員の意識向上を図っています。

レポートはまだ続きます。気になる内容の続きはダウンロードしてお楽しみください。

提供:株式会社ジェイティービー

水谷 初子 氏

株式会社ジェイティービー
ブランド戦略推進室 室長
水谷 初子 氏

旅行営業を経て、組織活性化や従業員のモチベーション向上の人財育成のコンサルティング事業の責任者として活躍。その後、グループ企業のブランディングを推進する責任者に着任。グループ全体の企業ブランド向上を統括するとともに、ブランドを体現する人財育成のあり方や社内風土改革などに取り組んでいる。