プロフィール
足立 朋子 氏
テルモ株式会社
経営役員
チーフヒューマンリソースオフィサー(CHRO)
1990年~2005年、2010年~2019年に渡ってソニー(日米欧)にて、人事制度企画、チェンジマネジメント、組織・人財開発などを推進。2005年~2009年は欧州にて人事コンサルタント業を営み日欧グローバル企業向け人事戦略・施策の支援を行う。2019年よりテルモ株式会社にてグローバル人事戦略を推進し、8つの事業の内4つの事業の本部が海外という同社のグローバル経営を支える。2023年4月より現職。
三浦 孝文 氏
株式会社ノンピ
CHRO/取締役 人事本部長
NTTドコモと電通のつくったモバイル広告会社のD2C、レシピサービスのクックパッドで人事を経験後、2017年に当時のオイシックスに入社。大地を守る会、らでぃっしゅぼーや、シダックスとの経営統合プロセスを人材企画や経営企画の部長として経験。2024年2月からノンピへ出向し現職。
海外での経験で感じた、「高度な専門性」を備えた人事の多さ
三浦氏:足立様はこれまでどのようなキャリアを歩まれてきたのでしょうか。足立氏:私は、キャリアのほとんどを人事として歩んできました。新卒でソニーに入社して、日本、アメリカ、ヨーロッパといった様々なエリアにおいて、色々な事業局面での人事を経験。その後、一度退職してヨーロッパの大学院で修士号を取得した後、またソニーに戻りました。その後、ご縁があって2019年にテルモに加わり、現在はCHROとしてグローバル人事やグループ人事を管掌しています。
三浦氏:海外の大学院で学んだのは、どんな理由があったのでしょうか。
足立氏:専門性を身に付けたいと思ったからです。海外で人事をしていて感じたのは、非常に高度な専門性を備えた人が多く、人事はプロフェッショナルな仕事だということです。そこで一度退職をして、人事コンサルタントとして複数のグローバル人事プロジェクトの支援をしながら、大学院で組織開発の学位を取りました。
三浦氏:その後ソニーに戻られ、次にテルモへ入社されますが、社風が異なる難しさもありそうですね。
足立氏:企業理念である「医療を通じて社会に貢献する」が徹底されている会社だと感じました。前職とは事業領域も社風も異なり、大切にしているものが企業によってこれほど違うものかと感じたことを覚えています。
三浦氏:業界が違うことで、人事としてのミッションも変化がありそうです。
足立氏:医療機器業界の競合他社は、規模の大きいグローバルカンパニーが中心です。テルモも、グローバルM&Aなどによりどんどん海外での事業を大きくしており、全体に占める海外売上の割合は75%ですし、海外拠点のアソシエイト(社員)が80%を占めています。そして、8つの事業のうち4つの事業の本部が海外にあります。この状況で、経営戦略に合致した人事戦略をグローバルに推進することが、CHROとしての大きなミッションでした。
三浦氏:まさに経営としても人事としても変革の時だったということですね。具体的には、どのような経営課題がありましたか。
足立氏:私が入社して2年ほど経った時、2022年度から26年度までの新たな5ヵ年成長戦略「Growth Strategy2026(GS26)」を策定しました。そこで中長期ビジョンとして掲げたのが「デバイスからソリューションへ」。優れた医療機器(デバイス)をしっかりと届けるだけではなく、それによるソリューションを医療現場に提供していくということです。
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