プロフィール
今井 のり 氏
株式会社レゾナック・ホールディングス
取締役 常務執行役員
最高人事責任者(CHRO)
1995年旧日立化成に入社。 経営企画、オープンイノベーション推進、営業・マーケティング(米国駐在)、複数事業の企画・事業統括を経て、旧日立化成で2019年執行役に就任。昭和電工との統合では、旧日立化成側の責任者としてリード。ビジネスパートナーとしてのHR改革などを推進しながら、パーパス・バリューを基に新しい企業文化の醸成、事業戦略にマッチした人材育成に注力。
三浦 孝文 氏
株式会社ノンピ
CHRO/取締役 人事本部長
NTTドコモと電通のつくったモバイル広告会社のD2C、レシピサービスのクックパッドで人事を経験後、2017年に当時のオイシックスに入社。大地を守る会、らでぃっしゅぼーや、シダックスとの経営統合プロセスを人材企画や経営企画の部長として経験。2024年2月からノンピへ出向し現職。
※ノンピの企業様向けケータリングサービス『EAZY CATERING』

さまざまな部門で経験を積み、究極の戦略は「人」と認識
三浦氏:今井様はこれまでどのようなキャリアを歩まれてきたのでしょうか。今井氏:私は、大学で有機合成を専攻していました。ただ、就職にあたっては「実験よりも、グローバルな仕事がしたい」と考え、事務系扱いで1995年に旧・日立化成に入社しました。配属先は経営企画部。そこで最初に担当したのが、米国のベンチャー企業からの技術導入の交渉サポート、今で言うオープンイノベーションの先がけのような仕事です。その後、外資系企業との合弁会社の立ち上げや、広報・IRなどを経験しました。キャリアとして最も長かったのは、米国での営業です。現地に6年半ほど駐在していました。帰国後は、いくつかの事業企画や事業リーダーを経て、モビリティ事業の副本部長を務めていたときに資本再編が始まり、昭和電工との統合プロジェクトでは日立化成側のリーダーを務めました。
三浦氏:コーポレートから営業まで、かなり幅広く経験されていらっしゃいますね。
今井氏:かなりレアなケースだと思います。「営業をしてみたい」「海外にも行ってみたい」と希望したのは私です。一度はフロントに立って、事業に直接関わるところを経験しておきたかったというのが、背景としてあります。
会社に対しては、言いたいことは言うタイプだったと思います。実は元々、会社で長くキャリアを続けるつもりもなかったので、「いつ辞めても良い」と思っていました。なので、常にフラットな姿勢で発言していたので、職場内でときには気まずい流れになったこともありました。それでも何とか今があるのは、上司や周囲の支援があったからだと感謝しています。
統合に向けた取り組みは大変でした。けれども乗り切ることができたのは、「私たちの持つ材料技術のプラットフォームを何としても守りたい。昭和電工はそのためのベストパートナーだ」という想いが強かったからです。これまで様々な経験を経て40代で旧・日立化成の経営企画業務に再び就き、中長期戦略を考えたときに、幅広い技術プラットフォームから生まれるイノベーションこそが企業価値の源泉だと気づきました。
多くの企業はマーケットドリブンでポートフォリオを切られてしまいますが、機能性化学メーカーは成長領域があれば、そこに向けて材料を組み合わせ、新しい製品を開発できます。次に何が出て来るかわからない世界にも対応できる材料技術の素晴らしさをどうしても守りたいと思いました。さらに突き詰めていくと、多様な材料・技術をすり合わせ、イノベーションを生み出すのは人です。究極の戦略は「人」であると考えています。
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この後、下記のトピックで、インタビューが続きます。
●なぜ「CXO体制」を取り入れたのか
●事業や組織の課題は「コミュニケーション・ギャップ」がほとんど
●全く未知のものに対応するうえでカギとなる「メンタルモデル」