第9回 HRテクノロジー大賞『アナリティクス部門優秀賞』
株式会社メルカリ
人事データを活用した男女賃金格差の是正と、競争力のある報酬の実現
「人事データを活用した男女賃金格差の是正」プロジェクトは、諸条件を揃えた上で残る男女間の「説明できない差」を突き止め、積極的な報酬調整を実施。7%あった格差を2.5%まで縮小し、さらに格差の主要因が採用時のオファー金額の差であることを特定し、採用プロセスの見直しも実施。データ分析に基づく具体的な是正アクションにより、ダイバーシティ&インクルージョンの推進と競争力のある報酬制度の構築に寄与する優れた取組みであると高く評価されました。プロフィール
諏訪 ひと美 氏
株式会社メルカリ
データアナリスト
東京大学文学部卒業(社会心理学専攻)。株式会社SpeeeでSEOコンサルティングやデータ活用支援事業のマーケティングに従事した後、データアナリストとして株式会社メルカリへ入社。メルカリでは主にWeb・アプリの行動ログやA/Bテストの分析を担当。現在は人事のデータ分析部門にて、人事データの分析基盤の整備から人的資本の分析、データの民主化まで行なっている。
エイミー・バーク 氏
株式会社メルカリ
I&Dアナリスト
2022年5月にHRBPとして入社。組織開発部門での勤務を経て、2023年1月にインクルージョン & ダイバーシティチームに参加し、現在も同チームで勤務。会社の多様なメンバーがよりインクルーシブな職場環境で働けるよう取り組んでいる。
「男女間の賃金格差」の算出と是正を目的に、プロジェクトをスタート
――まずは、「人事データを活用した男女賃金格差の是正」プロジェクトの取り組み概要についてお聞かせください。諏訪氏:男女間の賃金格差の算出と是正を目的にスタートした本プロジェクトでは、社内の様々なデータを収集・分析して男女間の賃金格差を算出しました。そうしたところ、単純な平均による男女の賃金格差は37.5%でした。そこから分析を進めていくと、「説明できない差」、つまり職種や等級などの諸条件を揃えても残ってしまう男女間の賃金の差が7%あることが可視化されたのです。この差を埋めるための報酬調整を経営として意思決定しました。
――男女間の賃金格差の算出と是正を目的にスタートされましたが、その目的に至るまでの背景としてはどのようなものがあったのでしょうか。
諏訪氏:メルカリでは、事業活動が社会にどのような影響を与えたのかを中心として、中長期的な企業価値や会社が向かう方向性を記載している「インパクトレポート」という文書を2023年9月に発行しました。そこでは、5つのマテリアリティを定義しています。その中の1つが、HR領域に関連の強い「世界中の多様なタレントの可能性を解き放つ組織の体現」です。当社ではそれに向けて、「多様な人材が活躍するためのダイバーシティ & インクルージョン推進」、「活躍している人材にしっかりと報いる競争力のある報酬制度の構築」に、これまで取り組んできました。また、2022年7月の女性活躍推進法の改正により、常時雇用する労働者が301人以上の事業主を対象に「男女の賃金差異」の公表が義務化されました。こうした社内外の流れを汲んで、「人事データを活用した男女賃金格差の是正」プロジェクトが発足したのです。
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