「子の看護休暇」・「介護休暇」の基本ルールをおさらい
●対象者と使用用途
「子の看護休暇」と「介護休暇」は、いずれも対象者と休暇の使用用途が限定されています。「子の看護休暇」の対象者は、小学校就学前の子を養育する労働者です。お子さんの負傷・疾病の世話に加え、疾病予防のために必要な世話のために取得できる休暇です。「疾病予防のために必要な世話」とは、予防接種や健康診断等を指します。
「介護休暇」の対象者は、要介護状態にある対象家族の世話をする労働者です。要介護状態とは、2週間以上の期間にわたって常時介護を必要とする状態です。必ずしも介護保険制度の区分で「要介護」とされている必要はありません。
また、誰の介護でも良いわけではなく、配偶者(事実婚状態を含む)、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母の介護をしている人が対象です。
●取得可能日数
「子の看護休暇」、「介護休暇」いずれも、“1年度で5日(対象の子・介護の対象家族が2人以上の場合は10日)の休暇”を、年次有給休暇とは別に取得できます。年次有給休暇のように翌年度への繰り越しはされません。また、“1年度がいつからいつまでか”も企業が設定できます。特に定めをしない場合は、4月1日~3月31日を1年度と扱いますが、労使で認識の相違がないよう、4月1日~3月31日で運用する場合も就業規則に明記しておく方が良いです。なお、「子の看護休暇」は、子の年齢ではなく学年で対象者が定められているので、“4月1日からの1年度”とすると年度途中に対象者の増減が発生せず、年度途中の休暇日数変更を避けられます。
年度途中で対象者になった場合でも、按分はせずに5日取得可能とします。また、年度途中で対象外となった場合は、対象外となった日以降、「子の看護休暇」、「介護休暇」は取得できません。
加えて、年次有給休暇は休暇の使用用途を問わないため、子の看護や家族の介護が必要な時に、年次有給休暇を取得するのでも問題ありませんし、どちらを取得するかは労働者が選択できます。
●賃金支払い
「子の看護休暇」、「介護休暇」は無給か有給かを企業が定められます。無給でも構いませんが、有給にすることで採用時に応募者が増えたり、会社が子育てや介護を応援しているというメッセージにもなるメリットも存在します。●事業主の義務
「子の看護休暇」、「介護休暇」は、従業員から取得の申し出があった場合、事業主は拒むことができません。「子の看護休暇」・「介護休暇」の“時間単位取得”とは
2019年1月からは、「子の看護休暇」、「介護休暇」のいずれも、時間単位での取得ができるようになりました。年次有給休暇が時間単位で取得できない企業でも、「子の看護休暇」、「介護休暇」は時間単位取得を認めなければなりません。なお、1年度で取得できる日数のすべて時間単位で取得することも問題ありません。残日数の管理の仕方ですが、例えば所定労働時間が8時間の場合、合計で8時間分の時間単位休暇を取得すると1日分の休暇取得と扱います。所定労働時間が7時間30分などのように1時間未満の端数がある場合は、端数を切り上げる必要がありますので、こちらの例も合計8時間分の時間単位休暇の取得で1日分と扱います。まとめると以下のようになります。
例えば、「子の看護休暇」が“2日と3時間”残っている方が、1日の所定労働時間数が8時間から5時間へ変更された場合は、以降取得できる日数・時間数が下記のように変更されます。
●変更前の残日数:2日(「1日分」は8時間)と3時間
●変更後の残日数:2日(「1日分」は5時間)と2時間
端数の3時間が2時間へ変更されている理由は、3時間×5/8をしているためです。計算結果は1.875時間となりますが、1時間未満の端数は切り上げることになっているため、2時間となります。
いかがでしたか。育児や介護と仕事の両立を実現するための制度導入は、従業員の定着率上昇や良い人材の確保にも繋がります。この機に自社の制度を再確認していただければ幸いです。
- 1