キャディ株式会社は2025年3月13日、2025年4月より順次改正となる「育児・介護休業法」に関する意識調査の結果を発表した。調査期間は2025年2月26日~28日で、企業に勤める1,000人から回答を得ている。調査結果から、法改正に対する管理職と非管理職の意識の違いなどが明らかになった。
2025年4月~の「育児・介護休業法」改正、管理職/非管理職で“認知度の差”あり。非管理職は半数以上が「知らない」と回答

「育児・介護休業法」の改正、“内容も理解”は2割強にとどまる

2025年4月以降、順次改正の予定となっている「育児・介護休業法」は、育児・介護を担う会社員が仕事と家庭の両立をかなえられるような環境の整備を目的に定められており、今後行われる改正は企業としても意識すべきものとなりそうだ。なお、今回の改正のポイントとして「子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充」が挙げられており、企業にはさらなる環境整備が求められるが、これに対し企業に勤める人々はどのような意識を持っているのだろうか。

はじめにキャディが、「2025年4月から『育児・介護休業法』の改正があることを知っているか?」と尋ねると、「内容も理解している」との回答は全体の22.9%と2割強にとどまった。

同回答について、管理職/非管理職に分けて見てみると、管理職の認知度が36.2%、非管理職の認知度が14.8%となっており、およそ20ポイント強の差が見られた。また、回答者を“子どもの有無”で分けて比較すると、“子どもがいる人”の認知度は32.5%、“子どもがいない人”の認知度は14.8%と、こちらも20ポイント弱の差があった。
2025年4月から『育児・介護休業法』の改正があることを知っているか?

管理職/非管理職で制度の導入状況における認識差あり

次に、『始業時刻等の変更』、『テレワーク導入』、『保育施設の設置運営』、『養育両立支援休暇』、『短時間勤務制度』の5つの措置について、「自身の勤務先での導入状況」を尋ね、それぞれ管理職/非管理職の回答結果を比較した。その結果、管理職では全ての項目で「現時点でできる」、「法改正後できるようになる」の合計が「できない」より高くなった。一方で非管理職では、5項目のうち3項目で「できない」との回答割合が高くなり、管理職・非管理職の間で制度への認識や利用環境に差があることが分かった。

また、「現時点でできる」、「法改正後できるようになる」との各回答割合も、管理職の方が非管理職より高い傾向となっている。この結果に対し同社は、「役職による認識の差が生じる要因として、制度自体は存在しているものの、非管理職が実際には活用できていないことが考えられる」としている。
自身の勤務先での制度導入状況

“法改正で直面する課題”について非管理職の認識が不足している傾向

続いて同社は、「育児・介護休業法の改正によって勤務先が直面すると思われる課題」について尋ね、管理職/非管理職で比較している。その結果、管理職では「組織内での業務負荷の偏り」、「組織の体制整備が困難」が合わせて4割以上となった。対して非管理職では、「特に課題を感じない」、「わからない・答えられない」が合計で4割を超えている。法改正により、管理職は組織全体への影響を課題として認識している一方、非管理職の多くは具体的な課題を認識していないようだ。
育児・介護休業法の改正によって勤務先が直面すると思われる課題

“柔軟な働き方”を実現するために必要なもの、管理職・非管理職それぞれの意識は?

次に、前問で尋ねた課題を解決し、従業員の多様なニーズに応じた“柔軟な働き方”を実現するために、「ソフト面(職場の文化・意識改革の観点)で最も必要だと思うもの」を尋ねた。すると、管理職では「業務の標準化・マニュアル化を進める」との回答が最多となったのに対し、非管理職では「わからない・答えられない」が最多回答となった。
ソフト面(職場の文化・意識改革の観点)で最も必要だと思うもの
また、同じく先に尋ねた課題を解決し、従業員の多様なニーズに応じた“柔軟な働き方”を実現するために、「ハード面(物理的な環境整備)で最も必要だと思うもの」を尋ねた。その結果、管理職・非管理職ともに「業務システムの導入」が最多の回答となっている。

なお、非管理職では「わからない・答えられない」が半数近くとなったことから、同社は「環境整備を自分事として捉えていない傾向が浮き彫りになった」との見解を示している。
ハード面(物理的な環境整備)で最も必要だと思うもの
2025年4月から段階的に改正が行われる「育児・介護休業法」では、企業に柔軟な働き方の環境整備が求められる。調査のうち、本記事で取り上げた質問においては、特に法改正に対する管理職と非管理職の意識の違いが明らかになった。法改正について、管理職の認知度は比較的高いものの、非管理職においては制度に関する認知が追いついていないようだ。法改正に企業として対応していくためにも、まずは従業員に対する制度の周知が直近の課題となりそうだ。

出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000138.000039886.html

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