株式会社ワークポートは2025年2月12日、「時間単位年休に関する実態調査」の結果を発表した。本調査は、全国の20代~40代のビジネスパーソンを対象に実施されたもので、計644名から回答を得ている。これにより、日本における時間単位の休暇制度(時間休)の現状や、働く人々の休暇に対するニーズが明らかになった。
労使協定による「時間単位年休」、導入率は4割にとどまる。従業員のニーズに応える導入・運用制度設計のポイントは?

時間単位年休の導入状況とニーズ

日本では労働基準法第39条において、“有給”で休むことができる労働者の権利である「年次有給休暇」が定められている。年次有給休暇は原則1日単位とされているが、労使協定の締結等により、年5日の範囲内で、時間単位での取得が可能となる。では、この時間単位の有休制度はどの程度導入されているのだろうか?

はじめにワークポートが、「職場では時間単位で有給休暇を取れる制度があるか」を尋ねたところ、「ある」と回答した人は41.6%にとどまり、52.3%が「ない」と回答した。
時間単位有休の制度の有無
次に、“現状は制度がない”と回答した人を対象に「もし制度ができたら活用したいか」を聞くと、79.3%が「活用したい」と答えた。時間単位の有給制度については、制度がない企業に勤務する人の8割近くにニーズがあり、休暇制度の実態と働き手の希望のギャップはかなり大きいようだ。
時間単位有休の制度の活用意向

時間単位年休の活用目的

続いて、「時間単位の年休制度ができたら活用したい」と回答した人に、「どのようなことに活用したいか」を聞いた。すると、最も多かったのは「通院」で75.5%が回答。次いで「役所などでの手続き」が59.7%となり、丸1日休むほどではないが外せない用事に活用したいと考えている人が多いとわかる。また、「趣味やリフレッシュ」に活用したいという意見も48.3%と少なくなかった。
時間単位有休の制度の活用目的

時間単位年休の取得実態

次に、職場に時間単位年休制度がある人に「実際に時間単位で有給休暇を取ったことがあるか」を聞いたところ、69.4%が「ある」と回答したという。

そこで、「実際に取得した時間単位の有給休暇の活用方法」を尋ねると、「通院」(73.7%)、「役所などでの手続き」(37.1%)、「趣味やリフレッシュ」(34.9%)の順となった。前問の“活用希望”と概ね一致する結果だ。
時間単位有休の制度の取得実態
今回の調査結果から、時間単位年休制度は、従業員の多様なニーズに応え、ワークライフバランスを向上させる有効な手段であることが垣間見えた。今後、制度導入を考える場合や、既にある制度の活用促進を図る際、企業側はどのような点を考慮したら良いのか、最後に整理してみたい。

【まとめ】制度導入・活用促進に向けて企業が考慮すべきこと
●従業員のニーズの把握:時間単位年休をどのような目的で活用したいのか、従業員のニーズを把握する。ニーズに合わせた制度設計を行うことで、より効果的な制度運用が可能になる。

●制度導入による効果:時間単位年休制度の導入は、従業員の満足度向上、モチベーション向上、離職率低下など、様々な効果が期待できる。これらの効果を定量的に把握し、制度導入の意義を明確にする。

●労働時間管理の徹底:時間単位年休制度の導入にあたっては、労働時間管理を徹底する。時間単位での労働時間管理システムを導入するなど、適切な労働時間管理体制を構築する。

●制度の周知徹底:時間単位年休制度の内容を従業員に周知徹底する。制度の利用方法、申請手続き、利用上の注意点などを明確に伝えることで、制度の円滑な運用を目指す。


時間単位年休制度は、働き方改革の一環として注目されている制度であり、適切に導入・運用することで、従業員と企業双方にとって大きなメリットをもたらす可能性がある。今回の調査結果を参考に、自社における時間単位年休制度の導入を検討してみてはいかがだろうか。

出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000254.000039106.html

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