
Z世代への「指導の鍵」となる3つのポイント
1.フィードバックは個別化する
Z世代は、自分の努力や成果を具体的に認められることを求める傾向があります。「プレゼンでのデータ選びが適切だったね。次回は視覚資料を加えるとさらに良くなると思うよ」といった具体的なフィードバックが、彼らの成長意欲を引き出します。また、ポジティブな内容と改善点を組み合わせた「サンドイッチフィードバック(*)」を活用するのも効果的です。この手法は、相手がネガティブな内容を受け取りやすくし、行動改善につながる特徴があります。Z世代の特性に合った柔軟なアプローチを取り入れましょう。
(*)サンドイッチフィードバック
ポジティブな内容、改善点、再びポジティブな内容を順に伝えるフィードバック手法。この方法は、受け取り手がフィードバックを前向きに受け止めやすくなり、成長を促す効果があります。
2.自己成長の機会を提供する
新しいスキルや経験を通じて自己成長を実感することは、Z世代にとって非常に重要です。たとえば、「来月の会議でチームをまとめてみてほしい」というように具体的な役割を与えると、責任感が生まれ、成長を促します。また、「小さな成功体験」を数多く積ませることも、自己効力感を高め、さらなる挑戦的行動を引き出すカギとなります。3.心理的安全性を重視する
Z世代が職場で意欲的に取り組むには、「心理的安全性」が重要な要素です。たとえば、定例ミーティングで「最近の失敗事例と学び」を共有する時間を設けると、安心感が生まれます。また、リーダーが自らの失敗をオープンに語ることで、部下も「自分も挑戦していい」と感じやすくなるでしょう。こうした文化づくりは、Z世代の能力を引き出すカギになると思います。Z世代のメンタルヘルス対策:4つの取り組み
1.ストレスチェック制度を活用する
Z世代が感じるストレス要因を把握するために、ストレスチェック制度を積極的に活用しましょう。この制度は、50人以上の従業員がいる企業では義務化されていますが、形式的な実施に留まらず、結果を活かすことが大切です。たとえば、ストレスチェックの回答は個人ごとに行われ、結果も個人に返却されます。一方で、結果は匿名化された形で集団分析に活用されます。ストレスチェックの結果からは、職場全体の傾向や特定の部署が抱える課題が浮き彫りになります。これにより、全体的な働きやすさの向上に向けた改善計画を立てるきっかけを得ることができます。
2.デジタルデトックスを取り入れる
情報過多や過剰なSNS利用がストレスの原因となるZ世代には、デジタル機器から一定時間離れる「デジタルデトックス」を取り入れることがおすすめです。たとえば、昼休憩中に「ノー・メールタイム」を設けることで、画面から目を離す時間を確保します。一方で、オンライン研修などデジタルを活用する場面も多いため、効率性とリフレッシュのバランスを取る工夫も重要です。3.メンタルケア研修を実施する
マインドフルネスやセルフケアを学ぶ研修は、Z世代がストレスに強くなるための有効な手段です。研修内容には、短時間でできるリラクゼーション法や呼吸法を取り入れ、誰でも簡単に実践できる方法を紹介します。こうした取り組みは、個々のメンタルケアスキルを高めるだけでなく、職場全体の心理的安全性を高める大きな助けとなります。4.相談窓口をオープンにする
心理的負担を感じずに相談できる環境を整備することは、Z世代へのメンタルヘルス対策の基本のようにも思えます。匿名で利用できるオンライン相談ツールやチャット形式の窓口を設けることで、気軽に悩みを共有できる場を作りましょう。さらに、専門知識を持つカウンセラーを配置することで、信頼感を高め、職場全体の心理的安全性向上につなげます。Z世代の可能性を引き出す取り組みを
これまで管理者研修や新人研修を通じて、Z世代が職場に新しい価値観やエネルギーをもたらす、とても頼もしい存在であることを強く感じてきました。一方で、彼らが力を存分に発揮するためには、心理的安全性が保たれ、自分の成長を実感できる環境が欠かせないとも思います。今回ご紹介した「指導のポイント」や「メンタルヘルス対策」が、皆さんの職場でZ世代の力を引き出し、職場全体の成長につながるヒントになれば嬉しいです。Z世代が安心して活躍できる場を作ることで、新しい風が吹き込まれるはずです。このシリーズが、Z世代との協働や働きやすい環境づくりに少しでもお役に立てたら幸いです。
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