令和6(2024)年度の住民税で、特別徴収の本人通知書が電子データで授受可能に
令和5(2023)年分の年末調整処理が終了した後、令和6(2024)年1月31日までに、「給与支払報告書」を市区町村に提出します。その後、毎年5月頃に「6月分からの個人住民税の徴収額」が事業主に通知されます。改正になったのは、この通知の受取方法です。eLTAX経由で給与支払報告書を提出した場合、「納税義務者(従業員)」への特別徴収税額通知について、電子データを選択することが可能となりました。
※画像出展:地方税ポータルシステム(PDF)
このZIPファイルは「AES256暗号化方式」となっています(2023年9月28日現在の公表されている情報による)。Windowsの標準機能では解凍できないため、解凍用のソフトが必要となります。従業員によってはPCを持っていないケースも考えられ、その場合はこの暗号化方式のファイルを開けません。また、「セキュリティに問題のある解凍用のソフトを無料でインストールすることで、個人情報の流失等につながるのでは」と心配する方もいらっしゃるかもしれません。「電子データ」で納税義務者の通知書を受け取るかどうかについては、給与支払報告書を提出するまでによく検討しておきましょう。
なお、「特別徴収義務者用(事業主)」への通知書については、今回の改正前から電子データでの受け取りが可能でした。ただし、これまで電子データは「副本」という扱いで、紙の通知書が「正本」であるため、電子データと紙の通知書の両方を受け取ることが可能でしたが、令和6(2024)年度からは、電子データと紙がそれぞれ「正本」の扱いとなるため、電子データか紙かのどちらかしか選択できなくなります。こちらについては、給与システムへの取り込みができれば、住民税更新の処理工数を削減できるので、電子データでの受け取りがお勧めです。
住宅ローン控除の適用期限や控除率、控除期間が見直しに
「令和4(2022)年以降に新たに住宅を新築した場合」の住宅借入金等特別控除について、適用期限と控除率、控除期間が見直されました。「2050年カーボンニュートラル」の実現に向けた措置で、省エネ性能等の高い認定住宅等につき、新築住宅等・既存住宅ともに借入限度額を上乗せとなります。●会計検査院の指摘への対応として、控除率が1%から0.7%に
●新築住宅等の控除期が13年に上乗せ
●住宅ローン控除の適用対象者の所得要件が、合計所得金額3,000万 円以下から2,000万円以下に
●合計所得金額1,000万円以下の者につき、令和5(2023)年以前に建築確認を受けた新築住宅の床面積要件が40平米以上に緩和
実務としては、従業員から提出された申告書に則り処理をしていけば正しい控除額を計算できるようになっていますので、改正があったことを押さえておけば良いでしょう。
住民税の本人通知書の受取方法は情報システム担当者も含めて検討を
前編・後編の2回にわたり、令和5(2023)年の年末調整の改正点と、実務上の注意点について解説しました。特に個人住民税の電子データでの受取方法について、昨年までと大きく変わることになります。 「従業員の利便性」と「配布する担当者の工数」、更には会社としてのセキュリティ基準(解凍ソフトをインストールすることや、暗号化されたZIPファイルをダウンロードすること)をクリアできるか等を、情報システム担当者とも話し合って検討しておきましょう。国税庁:令和5年分 年末調整のしかた
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