言葉や態度から反応が読み取りづらい「クローズドマインド」メンタリティ
「クローズドマインド」とは、オープンマインドの反対を示した造語です。特に先輩・上司、世代の違う人たちから「何を考えているのかわからない」と言われるなど、彼らは集団になると“クローズドさ”がさらに加速します。ここ最近、各社の人事担当者から「新入社員研修で前に立つと、わかったのかわかっていないのか、その反応が年々読み取りづらくなっている」とよく聞くようになりました。 「クローズドマインド」メンタリティは、“自分の外側に不必要な情報は出そうとしない”という状態を指しています。これは
1.周囲からマイナス評価されることを根本的に恐れる
2.モバイル台頭によるコミュニケーションの質の変化
の2点が大きく影響しています。
彼らは“周囲からマイナス評価を受けると、自分の存在が危うくなる”という環境で過ごしてきたため、周りの空気を読んで「正解」を言い、集団の中の安全な場所に身を置くことを覚えました。「自分が考え感じたこと」を素直に発信するのは、大きなリスクを伴うことなのです。
また、モバイルの発達による影響は大きく、コミュニケーションは「好きな時に好きな人と好きな分だけとる」ことが前提となりました。嫌な相手からの電話は出ない、言いにくいことはメールで済ませる……など、「異質で自分を否定するだろう人」との関係は極力持たない、という選択が出来るようになったのです。これにより、相手の理解を得るため、自分の思考や感情をなんとか対面で伝えなければならない、という経験はほとんど無くなってしまいました。
彼らと相対しながら観察してみると、1対1の時も集団の時も、「自分が考えていることを隠そうとしている」というよりは、「自分の中にある不安を解消するため、自分の内側にエネルギーを費やしている」ように感じられます。表面的な言葉や態度からは読み取れなくても、一人一人にじっくり話を聞いていくと、とても素晴らしい考えを持っていることに気づきます。そして、彼らは人と競ったり争ったりすることを好みませんので、基本的に優しい人が多いように思います。
ただし「感じていても言わない」のではなく、「感じたことを問われてもよくわからない」という、アンテナの感度自体が鈍くなっているケースは問題です。感情が表情や態度に現れない場合、どちらのケースに当てはまるのか、よく見ていく必要があるでしょう。
彼らは全般的に「そこそこで満足」という感覚を持ち、「指示されたこと以上のことをやらない」という特徴が見られます。ポイントは、彼ら自身は決して手を抜いているつもりはなく、100%で取り組んでいるということです。ですが、上の世代から見ると80%くらいに見えてしまう。そこにギャップが生まれるのです。反面、言われたことは手を抜かずまじめにやる、という良い面もあります。