※SPARK:Shimadzu PhD scholarship for Professional Advancement through Research and Knowledge
中期経営計画で掲げる「高度専門人財育成プログラム」の一環としての新人事制度
文部科学省が公表した「科学技術・学術政策研究所、科学技術指標2023年」の調査資料によると、海外と比較して日本では博士号取得者が少ないのが現状だ。一方で、労働人口が減少する中、グローバル競争力を高めるイノベーション創出に必要な資質・能力・専門性を有する高度専門人材への期待は高まっている。企業が従業員の博士号取得を支援する動きは、文部科学省も後押ししており、島津製作所以外にも富士通やメルカリなどで取り組みが進んでいる。
島津製作所の新人事制度「SPARK」は、社員による博士後期課程進学と通常業務の両立を後押しするもので、「事業戦略上の研究領域」と「進学先での研究予定のテーマ」が合致した博士号取得希望者の学位取得を支援する。
同制度は社内審査を通過した社員が対象で、対象者は進学する大学を自由に選択でき、学費は同社が負担。大学の先端研究に関する知見の獲得や、大学との共同研究をリードする人財の育成を図るものだ。2024年度から開始されており、現在は研究・製品開発に従事する社員が、本制度を用いて京都大学および京都工芸繊維大学の博士後期課程に在籍しているという。
島津製作所は中期経営計画で「高度専門人財育成プログラムの推進」を掲げている。多様なパートナーと協力して、社会課題の解決に向けたイノベーションをリードする人財の創出・獲得を強化したいとのことだ。
なお、同社はこれまでに大阪大学と連携して、技術者・研究者の博士号取得を支援したり、大学院の学生を修士課程(博士前期課程)修了時に同社で採用し、博士後期課程に派遣して共同研究に従事させたりする、「REACHプロジェクト」を展開してきた実績を持つ。
医薬、環境、ライフサイエンスなど科学技術分野の先端分析でグローバルに事業展開する同社が、社員の博士号取得を強力に後押しすることは、「人への投資」による企業価値向上に向けた確実な一歩だといえるだろう。