健康に関するあらゆる分野の商品・サービスを提供できるヘルスケアコンソーシアム®を目指すアルフレッサグループでは、経営戦略と人財戦略の連動と多様化する人財のマネジメント力強化を図るため、グループ全体でどのようにタレントマネジメントに取り組んでいるのでしょうか。

今回、アルフレッサグループの戦略的な中心を担うアルフレッサ ホールディングス株式会社でグループ経営戦略と人事企画を担当する取締役 常務執行役員・田中敏樹氏と、人材データを活用した科学的な人財戦略を実現するサービス『タレントパレット』を提供する株式会社プラスアルファ・コンサルティング 取締役副社長 鈴村賢治氏が対談。グループとしての人財戦略や今後の展開を語り合いました。

【プロフィール】


  • 田中 敏樹氏

    ■田中 敏樹氏
    アルフレッサ ホールディングス株式会社 取締役 常務執行役員
    グループ経営戦略・人事企画・IT・DX 推進・再生医療事業担当

    京都大学経済学部卒業後、金融機関でのキャリアを経て、2015年アルフレッサ株式会社に入社。経理部長、経営企画部長、ロジスティクス本部長を務める。2022年にアルフレッサ ホールディングス株式会社 取締役 常務執行役員に就任。グループ経営戦略をはじめ、人事企画やIT・DX推進、再生医療事業と幅広い領域を牽引する役割を担っている。

  • 鈴村 賢治氏

    ■鈴村 賢治氏
    株式会社プラスアルファ・コンサルティング 取締役副社長

    中央大学理工学部卒業後、株式会社野村総合研究所に入社。システムエンジニアとしてキャリアをスタートし、その後、テキストマイニングやデータマイニングなどの分析コンサルティングを多数経験。2007年、株式会社プラスアルファ・コンサルティングに入社し、取締役副社長に就任。データ活用の知見を活かしたタレントマネジメントシステム「タレントパレット」事業を立ち上げ、社員のパフォーマンスを最大化する「科学的人事」を考案。その方法論の確立と啓蒙活動に尽力している。

アルフレッサ ホールディングス田中氏・プラスアルファ・コンサルティング鈴村氏

「人財」こそが成長の原動力

鈴村氏:企業経営や人事が置かれている環境、とりわけ会社と働く人々の関係は大きな変化を続けています。数年前は“働き方改革”がトレンドで、残業時間の削減や労働環境の改善などが進められました。その後もリモートワークをはじめとした働き方の多様化、リスキリング、人的資本経営、相変わらずの採用難など、いろいろな課題が次々と押し寄せています。

それらはすべて「ヒト」に関わる事柄。これまで企業のリソースは「ヒト」「モノ」「カネ」とされていましたが、今は「ヒト」「ヒト」「ヒト」の時代だと語る経営者もいます。
アルフレッサ ホールディングス田中氏
田中氏:アルフレッサグループでは「ヒトこそが、成長の原動力であり、財産である」という考え方で、表記も“人材”ではなく“人財”としてきました。ですので、人材をコストではなく資本ととらえ、企業の中長期的な価値向上につなげるという考え方が広まっていく様子を「我が意を得たり」と感じておりました(笑)。

しかしながら、改めてアルフレッサグループにおける「人的資本経営」を考えていくうえで、経営戦略と連動した人財戦略を策定し、そして展開できているだろうか、サステナブルな事業運営を行うための人財育成ができているだろうか、という観点からはまだまだ課題はあると感じています。

鈴村氏:どれだけ立派な中長期経営計画を描いても、それをマネジメントしていくのは人。どれだけIT化に力を入れても、それを司るのは人。新しいものを生み出すのも人。そうした人財をどう見つけて、どう育てるか。「ヒト」に投資しないと持続的に成長できない、という認識が浸透しつつあります。人事は「ヒト」「ヒト」「ヒト」へと発想を変えていかなければならないのかも知れません。
プラスアルファ・コンサルティング鈴村氏
田中氏:アルフレッサグループは2023年に中期的な事業戦略および財務・資本戦略である「中長期ビジョン」を発表しました。当社グループは医療用医薬品等卸売事業が基盤事業なのですが、そのポジションをより強固にするだけでなく、成長事業や新規事業にも積極的に取り組み、事業ポートフォリオを拡大させていくというものです。医薬品等の開発・製造、治験から、卸売、物流、薬局までの一気通貫した「トータルサプライチェーンサービス」を軸に、再生医療、ヘルステック、データビジネスへと事業領域を広げることで、“ヘルスケアコンソーシアム®”の強化・拡大を進め、持続的成長と企業価値向上につなげていきます。

「中長期ビジョン」実現には、その実行を支える人財を育成していく戦略が極めて重要です。
当社グループ売上の大部分を占める医療用医薬品等卸売事業においては、多くの患者様を対象に大型医薬品を販売するというのが従来の成功モデルでした。しかしながら、業界環境が急速に変化していくなか、こうした基盤事業を担う人財要件も変化しています。加えて、成長事業・新規事業を引っ張っていくための新たな人財も必要となってくるでしょう。

図:事業ポートフォリオ拡大・変革のイメージ(売上高)

事業ポートフォリオ拡大・変革のイメージ(売上高)
そうした人財の供給や育成は、まだまだ途上です。まずは、われわれ自身が人財をよく知ることが重要だと思います。グループの事業会社の現場や人事部は知っているのですが、必ずしも共有されず、経験と勘に頼りがちなきらいがありました。また、人財の配置や育成はグループ各社に頼る部分も大きく、ノウハウが蓄積されないことも問題でした。


この後、下記のトピックが続きます。
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●経験と勘は否定されるものではない。データは人事の頭脳や経験を生かすためにある
●人財戦略の第一歩~「守りのDX」で人事の業務効率化へ
●タレントマネジメントの本来の目的は「人を知る」こと
●今後の人財育成や配置の課題とともに、グループ人財戦略も進化する

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