第8回 日本HRチャレンジ大賞『イノベーション賞』
太陽生命保険株式会社
業界初となる『65歳定年制・最長70歳まで働ける継続雇用制度の導入』
役職定年制を廃止し、賃金体系を変えることなく定年を65歳に延長するとともに、最長70歳まで働ける継続雇用制度の導入と、終身年金も維持する制度改定は、従業員が生涯の生活に安心感を持った上で意欲的に働ける取り組みであると高く評価されました。ゲスト
一番ヶ瀬智彦 氏
太陽生命保険株式会社
1997年入社。資産運用部門や津支社長を経て2017年に人事部へ配属。定年延長制導入のプロジェクトメンバーとして、生命保険業界で初となる「65歳定年制度」「70歳までの継続雇用制度」の創設に貢献した。現在は人事課長として働き方改革の推進、制度改革など多岐に渡る業務に取り組んでいる。
人事部 人事課長
役職定年の廃止。65歳への定年延長により、生涯賃金が平均15%上昇
――最初に、御社が取り組んだ新たな継続雇用制度の概要や、実施した背景について教えてください。一番ヶ瀬智彦氏(以下、一番ヶ瀬) 生命保険会社の従業員は、営業職員と事務や企画業務などを担当する内務員とに大別できます。当社ではすでに平成17年に、営業職員について70歳定年制を導入し、80歳を超えても働ける環境を整えております。
一方、内務員については、大きく分けて総合職(約1,200名)、一般職(約1,050名)、担当職(約50名)と呼ばれる3職種があります。いずれも57歳での役職定年を経て特別職員待遇となり、60歳で定年、そして希望者は65歳まで継続雇用する内容が平成28年まで適用していた旧制度です。旧制度では、役職定年した特別職員はそれまでの給与の80%程度の水準、60歳から65歳までの継続雇用時には30~40%程度の水準になることが一般的でした。
しかし「人生100年時代」と言われ、高齢化社会の進展とともに健康で生き生きと活躍するシニア世代が増加している中、従業員が生涯の生活に安心を持った上で、意欲的に長く元気に働ける環境を整える必要があると考えました。
そのような背景から、平成29年に導入開始した新制度では、すべての内務員を対象に57歳での役職定年と特別職員制度を廃止。57歳以降65歳の定年時まで、それまでと同じ処遇での雇用としています。つまり、22歳の入社時から65歳まで、一貫した人事・給与制度の中で同一の処遇となり、旧制度にあった給与の減額がなくなりました。また65歳以降、希望者は70歳まで継続勤務を可能としています。その際の給与は、旧制度での60歳から65歳までの継続雇用と同様に30~40%となります。
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