企業経営の目的・使命は、その企業に関係する人々を幸せにすることである。とりわけ社会的弱者、つまり障がいを持った人々に対して、仕事を通じて幸せにすることは、企業が果たすべき責任だ。しかし、法定雇用率未達企業の存在など、障がい者雇用を取り巻く環境は、課題も少なくない。本講演では、『日本でいちばん大切にしたい会社』の著者であり、元法政大学大学院教授の坂本光司氏に、これまで8,000社以上の企業を見てこられた知見をもとに、障がい者雇用の現状や課題、先進的な取り組み事例などを解説していただいた。
『日本でいちばん大切にしたい会社』著者が語る障がい者雇用の可能性と未来~業績や勝ち負けではなく人の幸せのための経営

企業経営の使命と責任

『日本でいちばん大切にしたい会社』著者が語る障がい者雇用の可能性と未来~業績や勝ち負けではなく人の幸せのための経営
 企業の使命とは一体何でしょうか。それは、その企業に関係する人々を幸せにすることです。では、業績とは何でしょうか。業績が悪くなると、会社は潰れます。そして会社が潰れたら人々は幸せにはなれません。つまり業績とは、目的を実現するための手段に過ぎません。業績が目的になってはいけないのです。私はこれまで、8,000社以上の企業を研究、あるいはアドバイスしてきましたが、その中で得た結論は、正しい目的と正しい手段を講じた活動で、業績が上がらなかった企業は存在しないということ。きちんと正しいことをしていれば、まるで神様が見ているかのように業績はついてきます。しかし、世の中にはそういうことに気づいていない経営者や、間違った考えを持っている経営者がたくさんいます。そういう企業では、手段である業績や企業の成長、勝ち負けが目的になってしまっているのです。そうすると、人間が手段やコスト、原料になってしまいます。私が研究している企業で、赤字の企業は存在しません。人が集まらない企業も存在しません。なぜか――。それは正しい使命のもと、正しいことをしているからです。

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