【キックオフ・カンファレンス第2部】インクルージョンの重要性について学ぶ
メインセッションとなる第2部は、さらに大きな会場に場所を移し、参加者も約130名が詰めかけた。第1部に続き、星加氏、飯野氏、西田氏の3名が登壇し、まずはダイバーシティ基礎セミナーを開催。ダイバーシティに向き合うポイントや、排除されている多様性、不可視化されている多様性、放置されている多様性と、これら各問題へのアプローチ方法、さらにダイバーシティ推進における課題点などについて説明がなされた。なかでも今回のセミナーで重要なキーワードとなったのが、「インクルージョン(包摂)」の観点だ。組織におけるダイバーシティでは、ただ単に多様な人々がその場にいるというのではなく、互いの差異がリスペクトされ、機会均等が保障されるフェアな環境であること、さらには正当なメンバーとして認められていることが重要であるという。「組織本位、つまり組織のメリットを目的としたダイバーシティでは、新しいことなど生まれてきません。では何をすればいいのか。具体的な施策は今回のセミナーを機に個々に考えていただきたいのですが、ヒントとしては、まさにインクルージョンという考え方をどれだけ真剣に推進していけるかが重要です。インクルージョンを進めていくことで、今まで組織の中にあったさまざまな差異を生む不均衡が是正され、同時に組織を揺さぶるような創造的な摩擦が起こります。そして今回お集まりいただいた皆さんにはそういった創造的な摩擦をうまくマネジメントしていただきたいと思います。それを考えるためにも、まずはぜひ一度組織の構造や環境を見直してみてください」(星加氏)
これら、OTD研究会の活動は、一般社団法人によって運営される予定だ。とりまとめる庄司弥寿彦氏(一般社団法人ALIVE代表理事兼、合同会社CONNECTIVE代表社員)は、今までビジネスのニーズとアカデミアの知見には大きなギャップがあったと語る。「まず一つは知らないということ。企業はアカデミアにどんな知見があるのかを知りませんし、アカデミアも企業にどんなニーズがあるのかを知りません。そしてもう一つは知見があっても、それをすぐにビジネスに活用できないということ。頭の中ではダイバーシティの重要性を理解できても、それをきちんとした施策に落とし込み、定着させることができませんでした。同会では、こうしたギャップを埋めるべく、ビジネスのニーズとアカデミアの知見を接続して、皆さんの取り組みを後押ししていきたいと思っています。これまで担当者だけではなかなか動かせにくい部分もあったと思いますが、こうしてみんなの知見を集めることで、組織を変えていくヒントが得られるはずです」(庄司氏)
その後、再びグループに分かれて、ダイアログを実施。「OTDについてどう感じましたか?」「企業でOTDを浸透させるときの課題は?」「今後OTD研究会で学びたいこと・取り組みたいことは何ですか?」という3つのテーマで対話し、参加者同士で考えや想いを共有、相互理解を深めていった。さらに第2部終了後は、場所を食堂に移し、ネットワーキング(懇親会)を開催。食事をしながら、さらに交流を深め、互いに今後の協働を誓い合った。
【参加者の声】
「これまでダイバーシティを考える際には個人個人にのみ意識を向けてきましたが、今回のワークショップやセミナーを通じて、そもそも仕組み自体への視点が欠けていたのだと気づかされました。今後は会社の構造や仕組みがどうなっているのかをしっかり意識して、ダイバーシティ推進に取り組んでいきたいと思います」(百貨店・人事/男性)「社会や組織はマジョリティの価値観と常識に合わせて作られたものである、という視点がとても新鮮で勉強になりました。ダイバーシティの本質的な部分を理解することができ、ようやく腹落ちできたと感じています。今回いただいたテーマを会社に持ち帰り、自分に何ができるのか、改めて考えていきたいです」(印刷業・人事/男性)
「車椅子の話やクイズなど、ハッとさせられるものが多かったです。これまでいかに自分の視点や思い込みだけで物事を見てきたのか、反省させられたのと同時に、改めて相手の立場になって考えることが重要であると気づかされました。今回の経験を今後の取り組みに活かしていきたいと思います」(製薬業・新人研修担当/女性)
「動画やワークショップを通じて多様性の不均衡を体験できたのがよかったです。確かに私自身、ダイバーシティについて考えるとき、多勢に無勢で優劣がついてしまって難しいと感じることが多々ありましたが、今回不均衡の問題を知ることができ、大いに納得することができました。これをどう行動に移せるかが今後の課題です」(社会保険労務士/男性)
■組織変革のためのダイバーシティ(OTD)研究会 Facebook
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