連載「人事大解剖~他社の人事のリアルを知る~」は、リレーインタビュー形式で、業務において大事にしている考えや日常の悩み、気になっているHRのキーワードなどを紐解きながら、人事のリアルに迫っていく。正解がない時代だからこそ、多様な人事の視点や経験を通じて、実践的な業務改善や課題解決のヒントを提供する。人事リレーの輪10人目は株式会社PETOKOTOで事業や組織を統括する執行役員 COO 伊藤 允晴氏が登場。同社は「ペットを家族として愛せる世界」を目指すペットウェルネスカンパニーとして、フレッシュフードペトコトフーズの開発・販売、ペットメディアの運営をはじめ、ペットが幸せな一生を送るためのサービスや情報を提供している。インタビューの中では、事業と組織を両立させるうえでの苦悩のほか、「総論ポジティブ、各論ネガティブ」など一人の人事として大事にしている考え方や推しの書籍などが語られた。
経営と組織の架け橋となる人事を目指して――PETOKOTO 伊藤 允晴氏【人事リレーの輪10人目】

Q1:これまでのキャリアは?

【人事リレーの輪10人目】
株式会社PETOKOTO 執行役員 COO
伊藤 允晴氏



新卒で2008年に株式会社インテリジェンス(現 パーソルキャリア株式会社)に入社して、法人営業と転職支援のキャリアアドバイザーを経験しました。その後、入社してから約5年のタイミングで次の会社に移り、今回のリレーインタビューで指名いただいた濱田さんと同じ株式会社マイクロアドに転職しました。マイクロアドは、データとテクノロジーを活用したマーケティングプラットフォームを提供している会社です。人事のキャリアとしては、ここからのスタートになります。

インテリジェンスでも次のキャリアに人事を提示されていた中、さまざまな情報収集をし、20代後半、より大きくチャレンジしたいと思い、マイクロアドに転職することを決めました。2013年当時、まだ会社規模も大きくなく、人事も採用、育成と幅広く、イチから色々経験できて面白そうだなと思い決断しました。

マイクロアドには約10年在籍したのですが、最初の2年間は人事部のリーダーという立ち位置で、新卒・中途採用や新人研修を担当しました。入社3年目で、新規事業開発部門へ異動し、人材会社向けの広告商品の開発を担当することになりました。人材業界出身というバックグラウンドを評価され、責任者として抜擢されました。3年ほど事業責任者として携わり、入社5年目のタイミングで再び人事に異動となります。そこからは採用や育成のほか、組織開発、事業部門と連携した全社横断プロジェクトなど、人事責任者として従事しました。マイクロアドがIPOしたタイミングで、独立を考え、2023年に株式会社PETOKOTOに縁あって入社したのが私のこれまでのキャリアです。

Q2:今の人事としての役割・ミッションは?

ヒューマングレードのフレッシュペットフードの企画開発販売や保護犬猫マッチングサイトのOMUSUBI、ペットメディアなどを運営しているPETOKOTOのCOOとして、リテール営業やカスタマーサクセス、コーポレート部門の責任者をしています。人事責任者として入社したのですが、販売イベントに参加するなどしているうちに、カスタマーサクセスや営業、SCM、人事以外のコーポレートも携わるようになり、今に至ります。入社した時に比べて、見るべき軸が今ではフロント・ミドル・バックと3つに増え、それらを統括し「とにかくペトコトを前に進める」のが私の役割です。

Q3:今抱えている主な人事課題は?

事業に資するスピーディーな体制構築は一番の課題ではないかと思っています。少人数の組織ゆえ、ひとつの役割にとどまらず、主体的に近隣業務に染み出し、アメーバのように補いあう必要性があります。例えば、エンジニアがサービス開発しながらも、事業部門のデータ基盤を整備し、デイリーの売上管理をしていたり、経理のメンバーがSCM業務を兼務したりするなど、職種間を越境している社員が多いのが特徴です。専門性の明確な区分が薄れつつある中で、どのように組織を構築し、社員の既存スキルではなく、ポテンシャルを最大限活かせる体制を作るかが大きな課題だと感じています。これまでの会社では役割が明確というのが当たり前にあり、そのなかで組織を良くしていくのが前提としてありました。今は個々が複数のミッションを追いかけ、共有し合いながら事業、サービスを伸ばしていこうとしています。そのなかで、いかに結果を出していけるのか、結果にこだわりきれるか、という強い組織をつくっていくことが大事なテーマとなっています。

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