Vol.04

「NEXT HR」調査レポート・コラム

「人事不要論」は本当か?次世代型人事の在り方とは?〜人事アンケート調査結果から読み解く〜

ProFuture代表/HR総研所長 寺澤康介

「人生100年時代」の到来により、従来の日本型雇用システムをベースとした働き方や、企業と働き手の関係が大きく変わろうとしている。AIの人事業務への導入など、テクノロジーによって省力化・自動化される人事業務も増え、いまのままの人事部では不要になるという声さえ聞こえてくる。

人事はどう変わるべきなのか。変わるための準備はできているのか。ProFutureが企業の人事責任者・担当者を対象に実施したアンケート調査結果から、人事の現状を分析するとともに、いま、人事が迫られている「変革」の方向性を探っていく。

調査主体: HR総研(ProFuture株式会社)
調査対象: 上場および未上場企業人事責任者・担当者 調査方法:webアンケート
調査期間: 2017年7月26日〜8月15日 有効回答:313件(1,001名以上:35%、301〜1,000名:30%、300名以下:35%)

「働き方」も「人事」も大転換期を迎えている

世界的ベストセラーとなった『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)〜100年時代の人生戦略』(東洋経済新報社刊)の著者であるロンドン・ビジネススクール教授リンダ・グラットン氏は2017年9月19日〜22日のHRサミット/HRテクノロジーサミット2017にビデオ講演で登壇する。彼女が示した未来の働き方、生き方に関する予測と提言は、世界中の経営者、人事の人々にとって、ある種、衝撃的なものだった。

世界中で平均寿命は延び続けており、いま生まれてくる多くの子供たちの約半数は100歳以上の人生を生きることになるとグラットン教授は言う。そのような「人生100年時代」には、80歳程度の平均寿命を前提に「教育→仕事→引退」という固定的な3つのステージで構成された人生から、柔軟なマルチステージの人生へとモデルチェンジが起きる。すなわち、学びのステージ、仕事のステージ、さまざまな活動に同時進行で取り組むステージを、個人の状況によって行ったり来たりするようになるというのである。

そして、70歳を超えて働くことが想定される人生100年時代を生き抜くため、個人にとっては、多様な働き方や、学び直しによるスキルセットの更新が重要になる。グラットン教授は、フリーランスなど、企業に雇用されず、独立した立場で生産的な活動に携わる「インディペンデント・プロデューサー」が劇的に増えると予想している。そうなれば、企業と働き手の関係は大きく変わっていくことになる。

実は、そうした未来は現実のものになり始めている。インディペンデント・ワーカーは米国だけで5,500 万人存在しており、Forbesによれば、その数は2020 年までに全労働者の50%に達すると予想されている。フリーランスの働き方が増えていることは、たとえば世界各国の都市で人々にシェアされるコワーキングスペースを展開する米国企業、WeWorkのここ数年の躍進からも読み取れる。日本でも、今後、同社のコワーキングスペースが開設されると報じられている。

いま、働き方は世界的な規模で大きく変わろうとしている。人事にも新しいあり方が求められているということである。