Vol.04

「NEXT HR」調査レポート・コラム

「人事不要論」は本当か?次世代型人事の在り方とは?〜人事アンケート調査結果から読み解く〜

ProFuture代表/HR総研所長 寺澤康介

「日本的人事」ではグローバル化に対応できない

大きく変えなければならないこととして、「年功序列型の昇格、昇進システム。終身雇用を前提とした人事システム」(情報・通信/301〜1,000名)など、従来の日本型雇用システムに関連した回答も多く寄せられた。一部をご紹介しよう。

「終身雇用を中心にした従来の仕組みを、欧米(中国も)型の転職を前提とした形に変えていく必要がある。個人的には、就職でなく就社になっている現状(就業時間外でもその会社に縛られている、副業も認めていないなど)は文化も含めて変えるべきと思う」

(情報・通信/1,001名以上)

「雇用者の志向も、縦軸でのスキルアップから、転社、転職による斜め軸でのスキルアップを志向しつつある。環境が変わる中で、相も変わらず縦軸にディペンドした制度設計や運営をしていても未来が開けない。したがって、前例に拘泥せずに労働環境を真摯に捉え、会社も雇用者もうれしく感じる新しい制度提案をできる気概が必要だと思う」

(情報・通信/301〜1,000名)

「賃金体系。『少子高齢化』『労働寿命の延伸』に対応するためには、賃金カーブの見直しが必要になると思います」

(情報・通信/301〜1,000名)

前段で述べたように、リンダ・グラットン教授が予測する「人生100年時代」が到来すれば、働き方は大きく変わり、1つの企業で固定的に働き続けるのではない「マルチステージ」の人生設計が一般化していくだろう。企業と働き手の関係も、望ましい報酬体系なども、これまでとは違ったものになる。そうした未来において企業が持続的成長を遂げていくため、人事のあり方や制度をどのように変えるべきかということは、避けて通れない大きなテーマである。

また一方では、差し迫った課題として、グローバル化に対応し、グローバルなビジネスにおいて戦っていくために、「日本的人事」を変えなければならないとする回答も目立った。例えば、次のようなものである。

「グローバルな人事制度と互換性があり、海外のグローバル人材とグローバルポストを競える人材育成をしなければならない。年功や終身雇用で守られているだけでなく、グローバル基準で正当に評価すること、それに伴い、その評価に見合う報酬を支払っていくことが、グローバルで勝ち抜く条件になっていくと考えている」

(サービス/1,001名以上)

「グローバル人材が活躍してくれるための、採用・育成・評価・報酬などの制度を、日本人従業員もグローバル人材も納得できるようなものをどうのように構築するか」

(メーカー/1,001名以上)

「真のグローバル化を進めるために、終身雇用を前提とした各種制度を変えるべき」

(メーカー/1,001名以上)