Vol.06

「NEXT HR」キーパーソン特別インタビュー

ソフトバンクが推進する人材オープンイノベーション 多様なコミュニティと対話が企業成長を加速させる【前編】

ソフトバンク 人事総務統括 人事本部 採用・人材開発統括部 統括部長 源田泰之氏
インタビューアー:ProFuture代表/HR総研所長 寺澤康介

時代の変化に合わせるように、組織や事業内容を大きく変えながら、世界的な企業へと登りつめたソフトバンクグループ。ここからさらに300年以上成長し続ける企業を目指すべく、次のソフトバンクグループを担う新たな人材の発掘・育成にも余念がない。明確な人材育成戦略のもと、『ソフトバンクアカデミア』、『ソフトバンクイノベンチャー』など画期的な施策を次々と打ち出し、大きな成果をあげているが、果たして成功の秘訣はどこにあるのか。人事総務統括人事本部の源田泰之氏にお話を伺った。

人事とは「人」と「事業」を繋ぐこと

寺澤急成長し世界的な企業へと登りつめたソフトバンクさんですが、そこに大きく貢献してこられた人事が、どのようなポリシーを持って、どのような活動をされているのかをお聞かせいただければと思います。まず組織形態はどのようになっているのでしょうか?

源田人事には現在、およそ200人の社員が属しており、組織形態としては私が担当している採用育成と、戦略企画、そしてHRBPという大きく3つのパートに分かれて活動しています。人事ポリシーは、「人事とは人と事業を繋ぐこと」。これは人事トップの青野がずっと言い続けていることなので、人事全員が答えられるはずです。ソフトバンクグループは今、あらゆる業種の企業をグループに取り込み300年存続する企業群をつくる「群戦略」の推進や、AIを事業の柱とする取り組みなど、未来への方向性を明確に打ち出しており、私たち人事はその方向性に沿った形で、人の採用・育成・配置を進めています。

寺澤御社には独自のさまざまな人事制度がありますが、制度の設計はどのようにして行っているのでしょうか?

源田人事制度の設計自体は非常にシンプルです。これまでも事業が大きく変わり、またこれからも変わり続けなければならない中では、特定の事業に最適化した制度より、汎用性の高いもののほうが受け入れられます。ソフトバンクは、日本テレコムやボーダフォンなどさまざまな企業とのM&Aを経て大きくなってきました。当然従業員もさまざまな企業の出身者がおり、その数は今ではプロパー社員よりも多くなっています。そういう中で、制度や文化や企業理念をスムーズに浸透させるためには、よりシンプルでクリアな、わかりやすい制度設計が不可欠です。そして実際にそれを徹底してきたことが、これまで数々の合併がうまくいってきたことにも繋がっていると思います。また一方で、合併した会社がそれまでそれぞれに大事にしてきた制度や文化や理念を、良いところは積極的に吸収してきたことも、ソフトバンクの大きな強みになっていると感じます。

ソフトバンク 人事総務統括 人事本部 採用・人材開発統括部 統括部長
源田泰之氏

1998年入社。営業を経験後、2008年より現職。新卒及び中途採用全体の責任者。 グループ社員向けの研修機関であるソフトバンクユニバーシティおよび後継者育成機関のソフトバンクアカデミア、新規事業提案制度(SBイノベンチャー)の責任者。 ソフトバンクグループ株式会社・人事部アカデミア推進グループ、SBイノベンチャー・取締役を務める。 孫正義が私財を投じ設立した、一般財団法人孫正義育英財団の事務局長。 採用では地方創生インターンなどユニークな制度を構築。幅広い分野で活躍する若手人材と、企業の枠を超え、国内外問わず交流を持つ。 教育機関でのキャリア講義や人材育成の講演実績など多数。