Vol.04

「NEXT HR」調査レポート・コラム

「人事不要論」は本当か?次世代型人事の在り方とは?〜人事アンケート調査結果から読み解く[後編]〜

ProFuture代表/HR総研所長 寺澤康介

人事担当者、個人として求められる準備は何か

最後に取り上げたいのは、組織としてではなく、個人としての対応というテーマである。

いま、人事パーソンとして仕事をされている人々の中には、人事部門でのキャリアが長い人もいれば、事業部門などから異動して、まだ日が浅いといった人もいるだろう。バックグラウンドはそれぞれ違うにせよ、人事に携わる人々が、大きく変化を迫られている人事の領域で今後のキャリアを形成していくにあたり、どのようなスキルやマインドを身に付けながら対応していくことが望ましいのだろうか。

「個人として、この激しい環境変化に対応するために人事のキャリアでどのような準備が必要だと思いますか」という問いに自由記述式でお答えいただいたところ、多岐にわたる回答が寄せられた。一部をご紹介しよう。

「現状に甘んじることなく、広くグローバル経済や新しい動きにアンテナを張り巡らし、すぐ動ける態勢を整えておく。そして、機を見てすぐに動くこと」

(情報・通信/300名以下)

「時代の急激な変化やHRテクノロジーの進化から人事担当者として何が求められているか、情報収集と、あるべき人事担当者像を自ら考え、学習していく習慣」

(商社・流通/301〜1,000名)

「いままでにないようなワークスタイルを考える柔軟性、思考力」

(情報・通信/1,001名以上)

「人事の役割をゼロから見直してみること。経営が人事に何を期待しているのか、しっかりと確認すること。」

(マスコミ・コンサル/300名以下)

いただいた回答からは、人事が変わることを迫られている中で、個人としても危機意識を持ち、前向きに対応しようとしている人事担当者の方々が多いことがうかがえた。また、今後のために必要だと思う準備としては、「経営的視点で考える力」や「現場経験(海外を含む)」のほか、「業界にとらわれない情報交換」など、他社の人事担当者とのネットワーク構築を挙げる回答も目立った。

他社の人事担当者と交流し、人脈を広げることは、視野を広げ、新しい発想で自社の人事を考えていく上で、大いに力になるだろう。私たち、HRプロとしても、人事担当者の方々が「NEXT HR」を考えるために役立つ最新情報の発信に加え、HRエグゼクティブコンソーシアムをはじめとして、人事に携わる方々同士が交流し、ともに学び合える機会をご提供したいと考えている。

将来、人事不要論がさらに力を増していくのか、そうではなく、人事が新たな価値を生み出して企業変革の先頭に立っていくのか。後者が実現するよう、最大限のサポートをさせていただくことをお約束するとともに、人事に携わるすべての方々へエールをお送りし、本稿を締めくくりたい。