普通の人が悪質なクレーマーと化す時代
サービス業を営んでいると、日々さまざまなクレームに接するものです。例えば、買ったものに不具合があって、交換や返金を求めるもの。これは、消費者側の正当な権利ですね。しかし、そこで「迷惑料」や「特別待遇」、「度を超えた謝罪」まで要求するのは悪質です。こうした犯罪まがいの過大要求は、かつては犯罪者や暴力団組員といった見るからに“ブラックな人間”が金品目的で行うのが一般的でした。しかし、最近はビジネスマンや主婦といった普通の人、いわば一見“ホワイトな人たち”が悪質なクレーマーと化すケースが増えています。過去の事件で、店舗で土下座を強要して逮捕されたのも、ごく普通の主婦でした。
ホワイトな人たちがクレーマー化する理由としては、ストレス社会で鬱憤が溜まっていた、便利なサービスに慣れきって我慢耐性が低くなっていた、一度クレームを入れて得をしたことで味をしめた……など、さまざまな状況が考えられます。つまり、現代は誰もが悪質なクレーマーになり得る時代。だからこそ、その対処法を知り、スタッフにも教えておくことが非常に重要なのです。
覚えておきたいクレーム対処時の3ステップ
悪質なクレーマーが見た目で判断できない以上、相手の主張が正当かそうでないかは、慎重に見極める必要があります。その目安となるプロセスがこちらです。STEP1:真摯にお客様の主張を聞き、内容を絞ってお詫びをする
STEP1では、お客様の言い分が正当であることを前提に、しっかりと話を聞きましょう。この時、「安易に謝ってはならない」と指導する会社もあるようです。理由は「全面的に非を認めたことになってしまうから」ですが、怒っている相手に対して、一言のお詫びもせずに話を聞くのは困難です。そんな時は、内容を限定して謝るとよいでしょう。また、正当な要求をしていたはずのお客様が、スタッフの対応の悪さゆえに悪質クレーマーと化すこともあります。クレーム対処の現場では、上から目線の発言や言い逃れに聞こえてしまう「D言葉」は封印してください。代わりに「S言葉」を使えば、相手の気持ちを逆なですることなく対処できます。
STEP2:焦りは禁物 時間をかけて相手の要求を見極める!
STEP2は、相手の要求に対して「できること」と「できないこと」を明確にして、お互いの妥協点を見つける段階です。きちんと話し合い、よく観察して相手の要求を見極めてください。正当な要求をしているお客様なら多少の時間がかかってもきちんと対応してもらえることを望みますし、金銭目的の悪質なクレーマーは、長期的な対応を嫌います。なぜなら、交渉期間が長引くと、通報されるリスクが高まるためです。
「今すぐ結論を出せ!」と詰め寄ってくる人もいますが、決して結論を急いではいけません。次のような「ギブアップトーク」を実践して、対応策を検討する時間を確保するようにしましょう。
STEP3:4つの応答例で、悪質クレーマーを撃退する
STEP3では、お客様用ではなく、悪質クレーマー用の対応に切り替えます。一度でも言いなりになれば、彼らは味をしめて何度でもやってきます。クレーマーたちがよく使うセリフをもとに、撃退に効果的な応答例をご紹介しましょう。ほかにも、「責任者のくせに、そんなことも決められないのか!」「タダで済むと思うなよ!」といった言葉を浴びせられることもありますが、無視して問題ありません。「裁判にしてやる!」との脅し文句もよく耳にしますが、万が一裁判になって賠償金を払うことになったとしても、怖いからといってどこの誰かもわからない人にお金を渡すことと、裁判で法に照らして命じられたお金を支払うのとでは、まったく意味が異なります。
悪質クレーマーには、チームで立ち向かおう!
さて、こうした恫喝は、いざ目の前にするとやはり恐ろしいものです。早く終わらせたい一心で、言いなりになってしまう人がいるのも無理はありません。しかし、一度でも屈すれば、繰り返し悪質なクレーマーに狙われることになりかねません。要求がエスカレートすれば心に傷を負って辞めていくスタッフがいたり、結果的に店舗や会社の評判を落としたりして、運営に大きな支障が出てしまいます。
サービス業を営む以上は、いつ悪質なクレーマーの標的になるとも限りません。そこで、事前に次のような対策を講じておきましょう。
http://weban.jp/contents/an_report/
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