同社は以前から女性の活躍推進に取り組んでおり、たとえばパート社員の正社員への登用を積極的に行っていたが、2008年に米ウォルマートの完全子会社になってから、その取り組みはさらに加速した。ウォルマート流のダイバーシティ推進の方法を、人財部人財企画/開発シニア・ダイレクターの南由紀氏に聞いた。
2015年までに女性店長比率を2倍に
──なぜダイバーシティの推進が御社にとって経営課題なのでしょうか。弊社のアソシエイト(社員)は約8割が女性だ。そのため女性にいかに活躍してもらうかは重要な経営課題であり、長年、ダイバーシティの推進に向けた取り組みを行ってきた。
しかし、2002年にウォルマートと業務提携、2008年には同社の完全子会社となったことで、ウォルマートのダイバーシティ活動の取り組みについても情報共有が図られた。すると、まだやれることがあるということがわかった。
ウォルマートでは、ダイバーシティではなく、ダイバーシティ&インクルージョンと表現している。インクルージョンは包含するといった意味だ。ダイバーシティが多様性を組織に取り入れることを主眼とするのに対し、ダイバーシティ&インクルージョンは一歩進んで、全員が公平に組織に参加できるような環境・風土作りを主眼とする。
つまり、さまざまなバックグラウンドを持つアソシエイトを受け入れるだけではなく、チームとして活躍してもらえるような環境・風土作りを進めるといった意味だ。
──御社ではパート社員の正社員登用を積極的に行っているとお聞きしました。その狙いは何ですか。
将来、女性リーダーとなる人材パイプラインを強化していくことが目的だ。2004年からパート社員を対象にした「正社員登用制度」を導入しており、これまで316人が正社員に登用された。過去3年間では毎年45人以上が昇格、2013年は過去最多の67人が昇格した。
当社の評価・昇格制度は同じグレード(等級)であれば正社員もパート社員も区別せず、同じ基準で評価・昇格を行う。G1からG8までのグレードがあり、正社員もパート社員もG1からスタートする。パート社員の上限はG3までだが、G3に上がったところで自動的に正社員になる資格が与えられる。さらにG4以上のポジションにチャレンジし、女性店長を目指すこともできる。
──現在の女性管理職比率はどのくらいなのですか。
店舗では店長全体に占める女性店長の割合は6.4%だ。2015年までに現在の約2倍となる10%まで増やしていきたい。