(1)課題整理と改革の方向性の検討
(2)賃金カーブの検討
(3)諸手当の検討(支給目的、対象、金額)
(4)基本給表の作成
(5)昇給方法の決定

(3)諸手当の検討(支給目的、対象、金額)
手当には、大別して生活関連手当と業務関連手当がありますが、昨今は、生活関連手当を減額し、業務関連手当を増額させる傾向が強まっています。この背景としては、独身のまま、或いは晩婚で子供なしかせいぜい一子、かつ共稼ぎが増加していることが挙げられます。ただし、少子化の進行を遅らせる意味で、子供手当だけは増額させる場合もあります。その他の手当についても支給目的や対象、金額を見直し、支給意義の失われたものは基本給にシフトするか、数年かけて廃止します。一方、業務関連であらたに必要となった手当は新設します。
先ほど触れた、「労基法」に抵触する可能性のある管理監督者の範囲、時間外労働に関する手当の支給状況については、人件費原資に余力がない会社の場合は、解決策を見出すのに時間を要します。また、根治するには、働き方自体の見直しが必要な場合もあります。
(4)基本給表の作成
続いて、各等級における「毎年の昇給ピッチ」と「昇格時の昇給額」を決め、基本給表を作成します。そして、「等級の上限」が「隣接する等級の下限」を上回らないよう、等級毎の上限下限を決めます。結果的に、等級の上限に達した社員が昇格できない場合は昇給が止まり、各々等級に応じた基本給を維持することが出来ます。(5)昇給方法の決定
上記(4)の基本給表をもとに、毎年の昇給の仕組みを決定します。その方法は、以下の5通りあり、いずれかを選択します。a. 号俸表
「号俸表」には人事考課の概念がなく、毎年1号俸ずつ年功的に昇給します。かつて、公務員に適用されていました。人事考課ランクを反映させる余地がなく、現在はほとんど使われていません。b.段階号俸表
「段階号俸表」は、人事考課ランクによって昇給させる金額(号俸数)を変化させます。号俸表を社員に示すことで、人事考課ランクがわかれば昇給額もわかります。c.昇給表
「昇給表」は、昇給額のみを示したものです。これによって、人事考課ランクによる昇給額が決まります。この場合も、人事考課ランクが決まれば、自動的に昇給額が決まります。d.ポイント昇給表
「ポイント昇給表」は、「昇給表」の昇給(差)額をポイント化したものです。そして、会社がその年の昇給に充当し得る人件費原資を、各社員の人事考課結果により決定したポイントの総数で除して、ポイント単価を決めます。そのポイント単価に各人のポイントを掛け、昇給額を決めます。人事考課の結果を反映しつつ、昇給原資に合致した形で、各社員の昇給額を決められるため、「ポイント昇給表」を採用する会社も少なくありません。

e.複数賃率表
a~dで示した方法では、基本給は累積されて昇給しますので減額はありません。それに対し、「複数賃率表」は、毎年の人事考課ランクによって基本給を洗い替えしますので、人事考課ランクが悪かった場合は、前年比賃金が減額になることがあります。非管理職はa~dのいずれか、管理職はeという風に、組み合せることもあります。(「賃金制度」後編に続く)
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