Z世代の社員は、職場環境や指導方法によって能力を発揮できるかどうかが大きく左右される側面を持っています。特にOJT(On-the-Job Training)は、彼らにとって職場適応とスキル習得の重要なステップですが、従来の一方向的な方法では十分な効果を得られない場合があります。今回は、「OJTの場面で労務担当者や管理者が意識すべき要点」を、第1回目の内容をさらに深掘りしながら具体例を交えてご紹介します。一緒に見ていきましょう。

【Z世代の特徴とメンタルヘルス:2】OJTの進め方で意識すべき「具体的なアプローチ」

Z世代が「OJTに求めるもの」とは

1. 明確な目的と期待値の提示

Z世代は「なぜこれをやるのか」を理解したうえで動く傾向が強いことを前回ご紹介しました。そのため、OJTを始める際には、タスクの背景や目的を明確に説明することが重要です。

例えば、新しいシステムの導入研修を行う際に、「このシステムを使うことで作業効率が30%向上する」といった具体的な効果を示すことで、タスクの意義を理解し、興味や関心を抱きやすくなります。

2. 双方向のコミュニケーション

OJTを効果的に進めるためには、指導者が一方的に教えるのではなく、意見や質問を交わす双方向のコミュニケーションが大切です。Z世代を「コミュニケーションを嫌がる世代」と誤解している場合もありますが、疑問や意見を気軽に伝えられる環境でこそ学びが深まります。

例えば、「この部分で不明点があれば教えて」と指導者が切り口を示すことで、安心して質問できる雰囲気を作ることができるでしょう。

3. フィードバックの即時性

Z世代は、結果や行動に対するフィードバックを迅速に求める傾向があります。

例えば、「この資料の構成は良かった。ただ、次回はグラフを使うとさらに説得力が増すね」といった具体的でポジティブなフィードバックを即座に行うことで、次の行動に繋がりやすくなります。

「Z世代のOJTの進め方」で意識すべき具体的なアプローチ

1. 小さなタスクに分割する

Z世代は短いコンテンツやタスクを好むため、大きなプロジェクトを細かく分割して進めると効果的です。

例えば、「顧客データの分析」という大きな課題を、「データ収集」、「簡易なグラフ作成」、「分析結果のまとめ」といった小さなタスクに分けて提供することで、達成感を感じながら進めることができます。

2. メンター制度の活用

Z世代は、上下関係よりもフラットな関係性を好む傾向があります。そのため、上司からの指導だけでなく、年齢の近い先輩社員によるメンター制度を取り入れると、OJTがスムーズに進むことが多いです。

実際、メンターとともにタスクに取り組むことで、心理的な負担が軽減されるケースがあります。

3. チーム学習の取り入れ

Z世代は、周囲との協力を通じて学ぶことに積極的な傾向があります。OJTにおいても、グループワークやペア作業を取り入れることで、スキル習得とチームの一体感を高めることが期待できます。

例えば、新しい製品のマーケティングプランをチームで考えるワークショップ形式のミーティングを実施した企業もあります。

Z世代のOJTで注意したいポイント

1. 一方的な指導を避ける

トップダウン型の指導は、Z世代が仕事への興味を失う要因となることがあります。指導の際には、「これまでの方法はこうだったし、こういう方法もあるけれど、君ならどう考える?」と意見を引き出す双方向の姿勢を意識しましょう。

2. 適度なプレッシャーを与える

Z世代は意義のあるプロジェクトに挑むことで成長を実感したいと考える一方、過剰なプレッシャーには弱い傾向があります。そのため、目標設定は高すぎず、手が届く範囲にすることが大切です。

3. 成果だけでなく努力も認める

Z世代には、結果だけでなく、努力やプロセスを認める姿勢が重要です。

例えば、「今回のプレゼン、資料がとても分かりやすかったし、質問への対応も的確だったね。提案内容は確実にクライアントの心に響いていたよ。」といった具体的なフィードバックを行うことで、行動の継続に繋げることができます。

まとめ:Z世代の特性を理解したOJTを行えばポテンシャルを引き出せる

Z世代にとって、OJTは単なるスキル習得の場ではなく、「自分の価値観や働き方」を再確認する機会でもあります。労務担当者や管理者がZ世代の特性を理解し、個別対応を意識することで、彼らのポテンシャルを最大限引き出すことができるでしょう。

次回は、さらに踏み込んで、「Z世代の指導方法」や「メンタルヘルス対策」について解説します。
  • 1

この記事にリアクションをお願いします!