連載「人事大解剖~他社の人事のリアルを知る~」は、リレーインタビュー形式で、業務において大事にしている考えや日常の悩み、気になっているHRのキーワードなどを紐解きながら、人事のリアルに迫っていく。正解がないと言われる時代だからこそ、多くの人事の視点や考えを通じて、業務や課題解決のヒントをお届けする。人事リレーの輪6人目は株式会社アクセルスペースホールディングスで人事責任者を務める、取締役 CHRO 濵田 牧子氏が登場。同社は「Space within Your Reach〜宇宙を普通の場所に〜」をビジョンに掲げ、業界のパイオニアとして、小型衛星の開発や運用及び衛星を活用したソリューション提案などの事業を展開している。本記事では、サイバーエージェントやIT系スタートアップなどで豊富な人事経験を持つ濵田氏が語る人事として大事にしている考え方のほか、宇宙業界というユニークな領域でチャレンジしていることやオススメの人事関連書籍などをお届けする。

※下部の「目次」より気になる項目がありましたら、ぜひそちらからも参照のうえご覧ください。
クリエイティブな人事で組織と業界の成長に寄与したい――アクセルスペースホールディングス 濵田 牧子氏【人事リレーの輪6人目】

Q1:これまでのキャリアは?

【人事リレーの輪6人目】
株式会社アクセルスペースホールディングス 取締役 CHRO 濵田 牧子氏



新卒で株式会社ベネッセコーポレーションに入社し、主に進研ゼミの営業マーケティングを担当していました。約6年在籍した後、3年ほど上場企業で、紙媒体とWeb媒体の両方を扱う新規事業部門に個人事業主としてコミットしました。Web媒体の知見が蓄積していくなか、ご縁をいただき入社したのが、株式会社サイバーエージェントです。媒体のディレクターやプロデューサーの経験を積んでいたところ、会社から人事をやらないかと突然声をかけられました。当時、私は社内の平均年齢より少し上だったということもあり、周りの社員の相談に乗ることが多く、紙媒体での経験を活かした勉強会も社内で積極的に開催していました。もしかしたら会社はそういう私の行動を見ていたのかもしれません。

当時のサイバーエージェントの状況は、大量に採用はするけれど、ミスマッチや離職も散見されていた。そういった課題があるなかで、現場をよく知る人事、現場の本当に必要な人材を見極められる人事を会社は求めていたと思います。実は会社から、人事のほかに、別のメディアでのもう1つ上のポジションも同時に打診されていました。2つの選択肢を前に、会社に「今、経営として必要なのはどちらですか」と聞いてみました。会社から「人事」と回答があり、その時に覚悟が決まりました。最初は不安でしたが、経験を積んでいくにつれて、人事の仕事にのめり込んでいきました。中途採用の業務からスタートし、その後は育成や組織活性化に携わりましたが、新卒採用や労務など幅広い業務に携わりたいという欲求も出てきました。

ちょうどその時、サイバーエージェントの一事業だったマイクロアドが独立して株式会社化し、専任の人事を任されることになりました。従業員が100人ぐらいになるまでは一人で採用、育成、制度設計といった人事の基盤をつくり、そこから人事の仲間を増やしていきました。最初は拠点も一つでしたが、多拠点化やグローバル展開と規模が拡大していきました。会社のフェーズが変化していくなかで人事として多くの経験ができたことは今も活きています。

マイクロアドを退職してからは、ずっと人事責任者のポジションです。ビジネス・ブレークスルー(現:Aoba-BBT)やIT系のスタートアップ、飲食系など様々な業態の人事責任者を経験した後、アクセルスペースの事業や未来に共感して今に至るというのが私のキャリアです。

Q2:今の人事としての役割・ミッションは?

HRとPRを管掌しています。入社直後から、会社が成長していけるように、攻めの体制を作ってきました。業務のあり方としてオペレーションの部分を効率化して、新しいものを作っていけるクリエイティブな組織を目指しました。仕組みを入れ替えたり、利用しているサービスを乗り換えたりなど、業務改善を推進していきました。

少しずつ足場が固まってきたので、今は第2フェーズとして未来を作ろうとしています。特に、組織の課題に対して、より向き合っていこうと考えています。

Q3:今抱えている主な人事課題は?

宇宙業界はもともとパイがそんなに大きくありません。どのような人材を宇宙業界以外から取り込んでいくか。人材確保は重要な課題の一つです。

また、当社は外国籍メンバーが3割在籍しているという特徴があります。国籍も様々です。価値観が異なるなかで、日本の文化や習慣、ルールをどう伝え、彼らに浸透させ、活躍してもらえる環境を作れるか。日本語のニュアンスをどのように英語に含めて明示するか。私たちが当たり前だと思っていることが、外国籍のメンバーにとっては当たり前でないことは多々あります。それらを前提とした組織や制度づくりも重要だと思っています。

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