【導入検討時・1】現在自社が利用している「人事労務管理システム」を確認
人事労務管理システムを利用するのは、主に「人事総務担当者」ですが、勤怠管理システムを利用するのは、「従業員全員」です。例えば、給与計算システムは、人事総務担当者が業務上の必要性を感じて利用しますので、人事総務担当者の努力で導入が可能です。一方の勤怠管理システムは、従業員全員の業務に必要なものです。とは言え、打刻漏れや申告漏れなどが発生し、正しく打刻及び申告できるようになるまでに時間がかかることが多く、「人事労務担当者」と「従業員の上司」と「従業員全員」の協力が必要不可欠です。
打刻漏れや申告漏れの場合は、システムの利用を習慣にさせるために、上司を巻き込み、利用するメリットを強調するようにしましょう。例えば、勤怠管理システムの打刻や申請が正しくできていれば、上司や人事労務担当者に手間をかけないことになりますので、人事考課の評価の項目にするのも一つの方法です。
すでに、勤怠管理システムを導入されているのであれば、多少、不満があったとしても、入れ替える必要はありません。なぜなら、勤怠管理システムを入れ替えると再度、初期設定等をする必要があり、各社員に説明をする必要があるからです。
仮に、初期設定費用がかからないシステムだったとしても、導入工数がかかりますし、勤怠管理システムにもそれぞれ特徴があります。例えば、旧勤怠管理システムの不満が一つ解決したとしても、旧勤怠管理システムで満足していたことに新しいシステムが対応していないケースもあります。
ただし、これから勤怠管理システムを導入するのであれば、気をつけたいポイントがあります。「人事労務管理システム」の中でも特に従業員全員が利用するような、「勤怠管理システム」、「給与明細システム」、「年末調整申告システム」、「業務管理システム」などは、一般的に社員の個人情報を登録する必要があるため、同一の会社が提供するシステムや、人事労務管理システムとの連携が可能なシステムに揃えることをお勧めします。
【導入検討時・2】「勤怠管理システム」の選び方
勤怠管理システムには、サーバーやソフトウェアを購入する「オンプレ版」と、インターネットを介してそのサービスにアクセスする「クラウド版」があります。主な特徴は以下の通りです。●「オンプレ版」及び「クラウド版」の特徴と必要な費用
オンプレ版の特徴は、カスタマイズや人事労務管理システムとの連携が可能であること、頻繁な部署異動への対応ができることなどです。●勤怠管理の主な流れと対応範囲
設定から実用までの流れは下記の通りです。↓
シフト登録
↓
打刻
↓
申請
↓
勤怠・申請承認
↓
勤怠確認
↓
勤怠確定
↓
時間集計
↓
給与計算に必要な情報作成
【導入時】「勤怠管理システム」導入のポイント
「勤怠管理システム」を導入すると、例えば従業員が「多様な働き方」をしていても、シフト登録により「いつ誰が出社するか」、労働時間や休憩時間の管理により「今は誰が勤務しているのか」が分かります。休暇についても、「それぞれの働き方にあった有給休暇」が付与されて、従業員がその休暇を申請したり、上司が承認等をしたりすることも可能です。2019年4月1日に施行された「改正労働基準法」により年次有給休暇の付与に関するルールが変わり、“年10日以上の有給休暇を付与される者”は、付与された日から1年以内で5日の有給休暇を取得しなくてはなりませんが、その管理も楽になります。労働者ごとの年次有給休暇管理簿の作成も可能ですので、年5日の年次有給休暇の確実な取得促進が行え、日々の業務の効率化につながります。
ただし、勤怠管理システムには「自社の制度をそのまま反映できない」場合や、「希望するような休暇の管理等ができない」あ場合があり、導入時に苦戦する企業も見られます。そのようなケースでは、可能であればシステム会社にカスタマイズを依頼して、自社の制度を反映させることもあるようですが、カスタマイズ費用やその後のメンテナンスなどが必要になります。
そこで、システム導入をする際に“何を優先するのか“を事前に検討することをお勧めします。勤怠管理システムの場合は、「自社の制度をどの程度カバーできるのか」、「カバーできない場合に、制度を変更することができるのか」といったことを検討しましょう。
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