『EARTH FOOD CREATOR』をグループのビジョンとして「食」の可能性を追求し、食の楽しみと喜びを提供する日清食品グループ。次々と市場に繰り出される商品やユニークなテレビCMからもイノベーティブな社風が感じられ、人々の支持を集めています。世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」発売から65年の歴史を持つ同グループはこれからもイノベーティブであり続けるために、ビジネスと組織をどう捉えて、どのような施策を行っているのでしょうか。

今回は、日清食品ホールディングス株式会社 執行役員 CHROの正木茂氏と、人材データを活用した科学的な人事戦略を実現するサービス「タレントパレット」を提供する株式会社プラスアルファ・コンサルティング 取締役副社長 鈴村賢治氏が対談。企業価値を向上するための人事のあり方と日清流JoB型モデルの構築、マーケティング視点による人材データ活用など、イノベーティブな組織づくりについて語り合いました。(以下:敬称略)


プロフィール


  • 正木 茂氏

    正木 茂氏
    日清食品ホールディングス株式会社 執行役員・CHRO

    1993年、新卒で日清食品に入社。経理課にて「簿記入門」の習得からキャリアを開始。入社4年目で米国ゴールデンゲート大学に社費留学し、会計学修士を取得。財務部、人事部を経て再び渡米し、米国日清にてCFOとして勤務。帰国後、基幹業務システム刷新プロジェクトリーダーとして、40年来のメインフレーム時代からSAPへの移行を牽引。2018年に財務経理部 部長に、翌年人事部 部長に就任。2021年4月CHRO、2022年4月執行役員に就任。

  • 鈴村 賢治氏

    鈴村 賢治氏
    株式会社プラスアルファ・コンサルティング 取締役副社長

    中央大学理工学部卒業後、野村総合研究所に入社。
    システムエンジニアとしてキャリアをスタートし、その後、テキストマイニングやデータマイニングなどの分析コンサルティングを多数経験。2007年、プラスアルファ・コンサルティングに入社し、取締役副社長に就任。データ活用の知見を活かしたタレントマネジメントシステム「タレントパレット」事業を立ち上げ、社員のパフォーマンスを最大化する「科学的人事」を考案。その方法論の確立と啓蒙活動に尽力している。

鈴村様・正木様

財務経理の経験から「事業の継続力が将来の企業価値」と認識

鈴村:正木さんは、財務経理と人事の両方のキャリアをお持ちなのですね。
海外子会社のCFOも含めてそうしたご経験をされていると、人事に対する見え方や世界観が違うのではないでしょうか。
正木様
正木:経営戦略に資する人事が求められるなかで、両方を経験したことは私の柱になっています。ここ数年、人的資本経営が注目されて、人事に求められるものが大きく変わってきました。有価証券報告書の作成責任者だった頃、M&Aや投資をするなかで「有価証券報告書は過去のスナップショットでしかなく、将来の企業価値を表現できない」と感じていました。

人事部長になって人材版伊藤レポートを読み、企業価値を増加するために利益を伸ばす縦軸の力と、事業を継続する横軸の力が必要だとわかり、人事ならではの面白さを感じています。
鈴村さんはどのようなご経歴なのですか。

鈴村:2006年にプラスアルファ・コンサルティングを起ち上げました。前職ではマーケティングとデータ分析を専門としており、売れたか売れないかの結果が定量分析だけでは将来のための改善ができないことから、顧客アンケートの購入理由などの定性データを分析するテキストマイニング(自然言語解析)をやるようになりました。

正木:数字では過去のことしかわからない。将来を予見するために定性データを分析するのは、有価証券報告書と人材施策の関係と似ていますね。
鈴村様
鈴村:そうなのです。マーケティングではSNSなどの顧客の声を分析して意思決定に使うことが一般的です。しかし人事の方とお話すると、人事データは「管理」にしか使っていないことが非常に多く、なぜ人事はデータに基づいた意思決定ではなく経験と勘に頼っているのか、ずっと違和感がありました。一方、弊社の社員が100人を超えた頃、従来のコミュニケーションでは社員それぞれの詳細な状況が見えにくくなってしまい、社員の想いや経験を経営がもっと理解できる方法が必要だと感じました。そこで、人事戦略上の意思決定を支援するツールとして、タレントマネジメントシステムである「タレントパレット」を開発しました。

協力:株式会社プラスアルファ・コンサルティング


この後、下記のトピックが続きます。
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●日清食品ホールディングスが掲げる人事ミッションとは
●経営につながる人事部門へ向けておこなってきた取り組み
●CEOからメスを入れる!「日清流JOB型」の定義
●日本版JOB型を支援する仕組みのために必要な2つの視点
●「人」を理解するために、人事が持つべきマーケティング視点

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