先月、大企業の採用責任者数名とお話しする機会があり、現在の2024年卒採用の状況を話題にしたところ、「いや~、今年は本当に苦労していますね」との声を多くの方から聞きました。就職ナビが実施する就活生の内定率調査の結果が定期的に報道され、例年以上に早いペースで内定率が上昇していることは皆さんもご存じでしょう。企業の採用活動が早期化しているため、それだけ企業の内定出しが早く進んでいるのは確かですが、すべての企業の採用活動が同様に早期化しているわけではありません。
選考の「早期化」は、決して採用活動の「早期終了」につながるわけではなく、「長期化」を招く原因にもなっているようです。採用担当者の切実なコメントや具体的なデータについては本編で詳しく紹介します。
採用ホームページを重視する大企業
さて、今回は、HR総研が人事採用担当者を対象に2023年6月に実施した「2024年&2025年新卒採用動向調査」の結果から、2024年卒採用のトピックを紹介します。まずは、「2024年新卒採用で重視した施策」から見ていきましょう。[図表1]は、全体の回答結果と、他の企業規模と異なる傾向を示した1001名以上の大企業の回答結果だけを並べることで、比較しやすくしています。
その他、全体よりも大企業のほうが重視している施策としては、「オンライン型のインターンシップ」(全体:16%、大企業:31%)、「リファラル採用」(全体:9%、大企業:19%)、「リクルーター(OB/OG)の活用」(全体:8%、大企業:19%)などがあります。
ターゲット層に変化は見られるも、企業規模によって理由に違い
さて、コロナ禍や事業変革、DX推進の流れなど、社会情勢や企業を取り巻く環境が目まぐるしく変化する中で、新卒採用における各企業のターゲット層となる学生の条件は、これまでと比べて変化しているのでしょうか。全体の回答を見ると、「変化してきている」(9%)と「やや変化してきている」(33%)を合わせた「変化あり」派(以下同じ)が42%となり、「変化していない」(12%)と「あまり変化していない」(25%)を合わせた「変化なし」派(以下同じ)が37%と、やや「変化あり」派のほうが多くなっています[図表2]。企業規模別に見ると、「変化あり」派の割合は、大企業で40%、中堅企業で45%、中小企業でも44%と、規模による差異はそれほど見られません。昨年同時期の2023年卒採用の調査では、「変化あり」派の割合は、大企業で48%、中堅企業で37%、中小企業では34%となっていましたので、中堅企業・中小企業においても変化させざるを得なくなってきていることがうかがえます。
一方の「変化なし」派は、大企業で26%、中堅企業で36%、中小企業では45%と、企業規模が小さくなるほど「変化なし」派の割合が高くなっています。この傾向は2023年卒採用と変わっていません。