Thinkingsの佐藤邦彦CHROは「AI活用の広がりにより新卒採用に大きな変革が起こる」と予測
Thinkings株式会社は、組織づくりのプラットフォーム「sonar HRテクノロジー」などを展開するHR Tech企業だ。同社がこの度開催した「2025年卒 採用トレンド予測」では、2024年卒採用の動向を振り返りつつ、採用担当者と就活生へのアンケート結果を基にして2025年卒の採用トレンドを予測し、その内容を発表した。初めにThinkingsの代表取締役社長である吉田 崇 氏による会社説明が行われた後、Thinkingsの執行役員CHROである佐藤邦彦 氏が登壇した。佐藤氏はトレンド予測発表の意図について、「色々な会社の採用をサポートしているなか我々のところに情報が溜まってきていて、それを分析した結果として参考にしていただければ」と説明。
Thinkings代表取締役社長の吉田崇氏
そして「採用・就職活動でのAI活用が一気に広がっている。まだ一部の企業にとどまっているが、ここからさらに加速していくだろう。テクノロジーの進化をもとに大きな変革が起こる。すでにその兆しがある」と分析した。
資料:Thinkings株式会社
一方で学生200人へのアンケートにおいても、企業の採用プロセスにて「AIでの判定」が活用されることを86.5%が許容する結果になったという。AIについて、米OpenAIをはじめ多くの関連企業が生まれ、急発達を見せる現代では、学生側も懸念よりも受容の姿勢が強いようだ。
資料:Thinkings株式会社
ウシオ電機では選考プロセスへのAI活用により社員の負担を大幅にカット
同発表会の後半は、AIを活用した採用DXに取り組むウシオ電機株式会社の人事担当者である千葉嵩大 氏が登壇。先進的な新卒採用活動に至った背景や実際の効果など“生の声”を届けた。ウシオ電機では新卒採用選考の初期段階における面接でAIサービスを導入し、一定の効果を実感しているという。千葉氏は「対面での面接が主だった時代は、地方の学生に『面接の日程が合わない』など、もったいない理由で辞退されてしまうことが多々あったが、AI導入によって学生がいつでも好きな場所で面接を受けられるようになり、途中離脱が一気に減った」と、その好影響を話している。
また、AI導入により、選考プロセスにおける学生の離脱が減っただけでなく、社員の負担が大幅にカットできたのも大きなメリットだという。面接日程の調整などのオペレーション業務が減った分、学生に向けたアピール活動などのクリエイティブな業務に時間を割くことで採用を効率化させている。
「AI面接を導入することで、会議室の確保、社員のリソース確保、交通費の支給などの工数が少なくなり、採用担当者の時間が浮いたのは一番のメリット。その時間を内定者面談や学生との雑談など、就活のオンライン化で失われてしまった“人と人との時間”に充てることで、内定受諾率が高まっている」と千葉氏は成果に触れた。一時は20%程度だった技術職の内定受諾率は、学生への面接フィードバックなどに時間を割くことで会社としての信頼度を高め、40%程度までアップしたそうだ。
こうしたウシオ電機のように、今後、新卒採用業務にAIを積極的に活用する企業が増えることは容易に想像がつく。「タイパ就活」や「売り手市場」など環境が激変し、また人事のリソース不足が叫ばれる現代だからこそ、今回Thinkingsから発表された予測を参考にして、新卒採用担当者の時間的負担や精神的負担の軽減につながるAIの活用を視野に入れてみてはいかがだろうか。
Thinkingsの執行役員CHRO・佐藤邦彦氏(左)とウシオ電機の人事部 人材・組織開発課・千葉嵩大氏(右)
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