株式会社学情は、2025年3月卒業予定の大学生・大学院生(以下、25卒生)、および企業の人事担当者を対象に実施した「内定式」に関する調査の結果を発表した。調査は、25卒生に対しては2024年8月28日~9月8日、人事担当者に対しては2024年8月30日~9月13日に実施され、25卒生308人、人事担当者661人からそれぞれ回答を得ている。各調査結果から、内定式において学生が求めていることや、企業が予定する内定式の実施内容などが明らかになった。
“内定式で何をするか”が内定承諾の決め手にも? 企業の約7割が「懇親会」を実施、学生は「同期や先輩社員との交流」の希望強く

25卒生の8割超が、内定式への“リアルでの参加”を希望

10月の内定式シーズンを前に、2025年の新卒入社を控える学生は期待や不安を抱いていることだろう。企業の担当者においても、今後自社の戦力になっていく新入社員を迎える準備を着々と進めているはずだ。この秋に実施される内定式に対し、学生はどのようなことを望み、企業はどのような内容を検討しているのだろうか。

25卒生を対象とした調査では、はじめに「内定式はどのような形式で参加したいか?」と尋ねている。その結果、「実際に企業に訪問して参加したい」との回答が64.7%、「どちらかと言えば実際に企業に訪問して参加したい」が19%となり、合計すると“リアルでの参加”を希望する学生が8割を超える結果となった。

またフリーコメントでは、「同期と直接話したい」、「他の内定者や社員の方と顔を合わせて話をしたい」、「オンラインを交えた選考だったので、実際の企業の雰囲気を感じたい」、「対面のほうが、4月からこの企業で社会人として働くという実感を得られると思う」といった声が寄せられたという。
内定式はどのような形式で参加したいか?

企業の約9割が、内定式の“リアルでの実施”を予定。学生の希望と合致する結果に

これに対し、企業に向けて「内定式はどのような形式で実施されるか?」と尋ねた結果では、「リアルで実施」が87.4%で最多となり、約9割の企業が“リアルでの実施”を検討していることがわかった。先の結果と併せて見ると、8割超と高かった学生の“リアル参加”希望と比べても、企業の“リアル実施”意向はより強いと考えられる。

なお、フリーコメントでは「リアルのほうが、学生に節目として実感してもらいやすいと思う」、「内定者同士のつながりを創出するため今年はリアルで実施したい」、「入社に向けて、内定者が感じている不安を少しでも解消する機会にしたい」といった声が挙がっていた。
内定式はどのような形式で実施されるか?

内定式で“あると嬉しい”コンテンツは「同期や先輩社員との交流」

学生に対して「内定式にあると嬉しいコンテンツ」を尋ねたところ、最多となったのは「同期と交流できる」で79.9%、以下には「入社1・2年目の社員と交流できる」が52%、「入社後上司となる年代の社員と交流ができる」が37.5%で続いた。内定式の場では、同期や歳の近い先輩、上司となる年代の先輩などとの交流を求める学生が多いようだ。また、そのほかには「キャリアプランなど、入社後の目標設定ができる」が31.6%となっている。

フリーコメントでは、「同期とは入社前から親睦を深めておきたい」、「これから一緒に働く人と交流することで、入社後の不安が解消できそう」といった声があった。
内定式にあると嬉しいコンテンツ

先輩社員や同期と“リアルで話す機会”が内定承諾の決め手に?

続いて、学生に対して「内定先の社員や内定者とリアルで話す機会があると、『内定承諾』の判断にプラスになるか?」と尋ねている。すると、「プラスになる」と回答する人は89.6%と約9割に上った。

フリーコメントでは、「選考中は聞けなかったことや疑問点を解消することで、入社前後のギャップをなくすことができそう」、「社風を掴むことができるので、入社後のことをイメージしやすいと思う」、「実際に、直接話ができる機会をいただいたことで、内定先への志望度が向上した」といった声が挙がったという。
内定先の社員や内定者とリアルで話す機会があると、『内定承諾』の判断にプラスになるか?

企業は「社員との交流」や「同期との体験」の場を提供する意向

一方、企業に対して「内定式で実施するもの」を尋ねた結果を見ると、「社員と交流できる」が59%で最多となり、次いで「同期と一緒に『体験』ができる」が34.3%で続いていた。学生に対して「あると嬉しいコンテンツ」を聞いた結果では、どちらかというと“同期との交流”の希望が強く表れていたが、企業では“既存社員との交流”の実施意向がより強いことがうかがえる。

フリーコメントでは、「若手社員と交流することにより、働くイメージがわきやすいと思う」、「先輩社員との交流を通じて、企業理解や入社意欲向上につなげたい」といった意見が寄せられた。
内定式で実施するもの

内定者フォロー施策、最多は「懇親会の実施」で約7割に

最後に、企業に対して「内定者フォローのために実施しているもの」を尋ねたところ、最多となったのは「懇親会の実施」で65.5%、以下は「面談の実施」が50.4%、「入社前研修・就業体験機会の提供」が35.1%、「社内見学」が34.3%となっていた。学生が望むコンテンツや、企業の実施内容を踏まえても、内定者フォローのため交流の場を設けることの重要性を高く捉えている様子がうかがえる。
内定者フォローのために実施しているもの
本調査では、25卒生の8割超が内定式の“リアル参加”を希望しているのに対し、企業の約9割が“リアル実施”を予定しており、学生のニーズに即した実態になっていた。また、内定式で実施することについては、学生が特に同期や先輩社員との交流を求めているのに対して、企業でも既存社員との交流中心に、同期と交流できる場も設けるなど、おおかた希望と実態が合致しそうな結果となった。ここからの時期の内定辞退や、入社後の早期離職を防止するためにも、内定者の不安や懸念を払しょくできるような内定式の内容を検討したいところだ。

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