“キャリア”という言葉は何を指すのでしょうか? この言葉は、「ワーク(職業)キャリア」と「ライフ(人生)キャリア」の2つの意味を持ちますが、とかく日本でキャリアといえば前者の意味として捉えられ、ワークキャリアを継続させることが重視されてきました。しかし、昨今求められる「キャリア自律」の観点で考えると、ライフイベント(結婚・育児・病気・介護・転居等)と仕事を両立させた、ライフ・キャリアの充実こそが社会から求められる、“働く”ということなのではないでしょうか。

本書で、著者らはキャリアブレイクという働き方の経験における“通過点”に着目しています。一時的に仕事を離れることを単なる空白期間ではなく、個人と組織の成長機会として捉え直します。具体的には、キャリアブレイクの定義、背景、理論的基盤、実態とプロセスが体系的に解説され、実践的な事例も紹介されています。その知見は、組織の持続的成長と個人のキャリア自律を支援する企業人事の皆様にとって、大いに役立つことでしょう。

【書籍基本情報】
書籍名:キャリアブレイク 手放すことは空白(ブランク)ではない
出版社:千倉書房
書籍発売日:2024年10月3日
『キャリアブレイク 手放すことは空白(ブランク)ではない』石山恒貴・片岡亜紀子・北野貴大 (著)(千倉書房)

▼内容紹介

休職や離職はブランクではない。個人のキャリア選択において、手放すことも、空白も、実は“人生”という轍を豊かにする。

日本の息苦しさを緩和する1冊。
離職休職の期間は、人生を不利にするブランク期間と呼ばれていた。
実際は、その空白期間には価値があり、まさにキャリアブレイクだった。
世界では一般的であるキャリアブレイクとはなにか。
その実態と、価値をキャリアブレイク実践者8名の詳細な分析から提示。
くわえて国際比較、歴史的背景、雇用システムの位置づけ、キャリア理論上の位置づけからも解説。日本初のキャリアブレイクを学術的に分析した書籍。
(出版社ホームページより)

▼目次

第1章 キャリアブレイクの定義(石山恒貴)
第2章 キャリアブレイクの背景(石山恒貴)
第3章 キャリアブレイクを支える理論(片岡亜紀子)
第4章 キャリアブレイク研究所の事例(北野貴大)
第5章 キャリアブレイクの実態とプロセス(石山恒貴)
第6章 共通プロセスの解釈とキャリアブレイクの方向性(石山・片岡・北野)

▼著者プロフィール

【石山恒貴(いしやま のぶたか)】
法政大学大学院政策創造研究科教授
博士(政策学)。NEC、GE、米国系ライフサイエンス会社を経て、現職。
日本キャリアデザイン学会副会長、人材育成学会常任理事、Asia Pacific Business Review(Taylor & Francis)Regional Editor 等。 専門は組織行動論・人的資源管理が研究領域。
主な著書に『定年前と定年後の働き方:サードエイジを生きる思考』(光文社新書)、『越境学習入門:組織を強くする冒険人材の育て方』(共著、日本能率協会マネジメントセンター)、『日本企業のタレントマネジメント:適者開発日本型人事管理への変革』(中央経済社)等がある。

【片岡亜紀子(かたおか あきこ)】
早稲田大学グローバルエデュケーションセンター講師、法政大学大学院政策創造研究科兼任講師
法政大学大学院政策創造研究科博士後期課程修了、博士(政策学)。NEC、教育事業会社等を経て現職。
専門はキャリア形成、リーダーシップ開発、地域のサードプレイス。
主な著書に『地域とゆるくつながろう!:サードプレイスと関係人口の時代』(共著、静岡新聞社)、『LIFE CAREER(ライフ・キャリア):人生100年時代の私らしい働き方』(共著、金子書房)がある。

【北野貴大(きたの たかひろ)】
一般社団法人キャリアブレイク研究所代表、大阪公立大学大学院経営学研究科附属イノベーティブシティ大阪ラボ特別研究員
新卒でJR 西日本グループに入社し商業不動産の開発に従事。妻がキャリアブレイクを通じて、よい転機をつくったことに興味を持ち、JR を退職しキャリアブレイク研究所を設立。著書に「仕事のモヤモヤに効くキャリアブレイクという選択肢:次決めずに辞めてもうまくいく人生戦略」(KADOKAWA)がある。
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