株式会社マイナビは、2024年11月7日に「2025年卒新卒内定状況」に関する調査結果を発表した。この調査は、新卒採用実績のある企業の人事担当者を対象に、2024年9月6日~10月4日実施したもので、全国の1,616社(上場126社、非上場1,490社/製造588社、非製造1028社)の回答を得ている。調査結果からは、2025年卒の学生の採用状況と2026年卒の採用見通しが明らかとなった。
【マイナビ調査】25年卒採用は過去最低の「充足率70%」、9割以上が“採用活動の難化”を実感。26年卒採用の見通しは?

採用充足率70%は、現行のスケジュール以降過去最低

新卒採用スケジュールが大きく変更され、少子化による学生減少の影響を受けて人材獲得競争は激化の一途を辿っている。本記事では、採用活動がほぼ終了となった25卒の採用活動について、株式会社マイナビが発表した振り返りの調査結果から確認する。

まず、「25年卒の採用充足率」と「内定者の対する企業の満足度」を尋ねた結果を年次推移でまとめたグラフを見ると、「25年卒の採用充足度」は70%であることが分かった。前年比では5.8ポイントのマイナスで、16年卒以降の調査結果の中で過去最低となった。

さらに「内定者の満足度」は、「質・量とも満足」が22.5%、「質は満足・量は不満」が42.9%、「質は不満・量は満足」が10.6%、「質・量とも不満」が24%という結果になった。「質・量とも不満」の前年の数値は20.6%で、質の面でも量の面でも不満を感じている企業は3.4ポイント増えたことになる。
採用充足度と内定者満足度の年次推移

4割以上が「前年より厳しかった」、「前年並みの厳しさ」と振り返る

次に、「25年卒の採用活動の印象(難易度)」について尋ねた結果を見ると、「前年より厳しかった」が46.5%と最多の回答を集めた。また、「前年並みに厳しかった」は44.1%となり、これらを合計すると9割もの企業が「新卒採用が難化している」と捉えていることがわかった。

なお、過去からの推移を見ると、23年卒以降は難化傾向が続いていることが見て取れる。
採用充足度と内定者満足度の年次推移

「母集団の確保」は8割以上と多くの企業で共通の悩み

さらに、「『採用活動が厳しかった』と回答した理由」を同社が尋ねたところ、最多だったのは「母集団の確保」で81.3%に達し、3年連続で増加していることが判明した。また、2位は「採用選考への動員」で、43.8%と間を空けて続いた。
母集団形成が難しかった理由

2026年卒採用の見通しと採用スケジュールについて

次に「2026年卒の採用予定数」を同社が尋ねると、「増やす」と回答した企業は15.7%で、前年の調査からは2.6ポイント減少。「今年度並み」は72.6%と、前年から2.8ポイント増加した。この結果について、同社は「採用充足率の低下を受けて、予定数を増やすのではなく現状維持を選択する企業が多くなっている」との見解を示している。
26年卒の採用数について
さらに同社は、「2026年卒の採用スケジュール(予定含む)」についても質問している。その結果、「2025年卒より早める」が42.8%で半数に迫り、「25年卒と同じくらい」は55.7%だった。この傾向について、同社では「採用予定数の確保に向けて前倒しでの採用実施を検討する企業が増加しているのではないか」と見ているという。
26年卒の採用スケジュールについて
今回の調査結果では、現在の新卒採用市場の厳しさと、企業が課題に直面している様子が浮き彫りとなった。特に25年卒採用は、前年以上に「母集団の確保」が深刻化し、「年々採用活動は難化している印象」と採用担当者は感じているようだ。採用手法や早期化スケジュールへの対応など、さまざまな観点で対応を迫られている。今後の採用戦略の見直しだけでなく、入社後の人材育成・定着策の強化など、企業には総合的な人材戦略の構築が求められている。

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