6月に入り、2024年卒生向けの就職ナビ上では各社のインターンシップへの応募受付も開始され、早くも2024年卒採用が本格化しています。「マイナビ」や「リクナビ」といった従来型の就職ナビは、大学団体との関係が依然として深く、学業優先・早期化防止を名目として、インターンシップ応募(企業への応募者情報の提供)やインターンシップイベントへの参加は3年生の6月1日以降との申し合わせを順守していますが、新興の口コミ就職サイトや逆求人型就職サイトは大学団体とのしがらみは一切ありません。そもそも運営する就職サイト自体に、「2023年卒向け」とか「2024年卒向け」といった区分は存在せず、サイトは一つしか存在しません。そのため、就職活動期に至らない大学1年生や2年生が既に登録して利用しているという状況です。
課題はターゲット層の応募者集め
さて、今回はHR総研が、2022年3月9~28日に企業の採用担当者を対象に実施した「2023年新卒採用動向調査」の結果を紹介します。まずは、2023年卒採用では何が課題とされていたのかを、前年の同時期に実施した「2022年新卒採用動向調査」の結果と比較しながら見ていきましょう[図表1]。
次いで、「応募者の数を集めたい」31%、「内定辞退者を減らしたい」30%、「大学との関係を強化したい」23%、「選考辞退者を減らしたい」21%と続きます。「応募者の数を集めたい」は中堅企業と中小企業でともに33%と多く、「内定辞退者を減らしたい」は大企業と中堅企業で、こちらもともに35%と多くなっています。
前年調査と比較して、順位あるいはポイントが大きく変動した項目を見ると、前述の「ターゲット層の応募者を集めたい」(前年41→51%)のほか、「内定辞退者を減らしたい」(同22→30%)、「選考辞退者を減らしたい」(同9→21%)といった、「辞退者の減少」を挙げる企業が多くなっていることが分かります。面接のオンライン化が進み、従来の対面形式での面接と比べて、どうしても企業側担当者の熱意や人柄が伝わりづらく、学生のグリップ力の低下から「内定辞退」や「選考辞退」が増えていることをうかがわせます。
逆に、「オンライン・Web化対応を進めたい」は、前年の12%から7%へと5ポイント減少しています。コロナ禍での採用活動も3シーズン目を迎え、過去2年間で「オンライン・Web化対応」がある程度対応できているという自信からなのでしょう。
より重要となる施策トップは「採用ホームページ」
次に、「2023年卒採用でより重要となる施策」を聞いてみたところ、最多は「採用ホームページ」で、前年の30%からさらに8ポイント伸ばして38%、次いで「自社セミナー・説明会」も前年の28%から5ポイント伸ばして33%となっています[図表2]。一方、「就職ナビ」(同26→19%)、「Web面接(オンライン会議方式)」(同23→16%)は前年から大きくポイントを落としています。ポイントを落とした従来型の「就職ナビ」に対して、ポイント自体は低いものの「逆求人(オファー型)サイト」(同6→7%)は前年から微増となっています。学生の活用率だけでなく、企業での活用率でも明暗が表れてきているようです。「Web面接(オンライン会議方式)」については、前項の2023年卒採用の課題でも「オンライン・Web化対応を進めたい」がポイントを落としていたことに連動しているものと思われます。