・高年齢者雇用安定法において、高年齢者を55歳以上の者と定めている
・高年齢者雇用安定法の改正により、努力義務として70歳までの就業機会の確保が求められている
「シニア社員」はどのような時に意欲が低下するのか
弊社リクルートマネジメントソリューションズによる役職を外れた経験(ポストオフ経験)のある50~64歳の会社員766人への調査において、ポストオフ後の仕事に対する意欲・やる気の推移を見ると、「下がったまま」と回答した人が4割前後に上り、「一度下がって上がった」は2割前後にとどまりました。出所:リクルートマネジメントソリューションズ「ポストオフ経験に関する意識調査」2021年
これは、シニア社員の「年長者は、敬うもの」という若い頃から大切にしてきた価値観も関係しているのかもしれません。
「シニア社員」の意欲を上げる4つの関わり方とは
シニア社員の意欲低下が起こるサイクルは、先ほど紹介した通りです。つぎに、シニア社員の意欲向上が起こる「Goodサイクル」をご紹介します。こちらは、現在、活躍されているシニア社員とその上司にインタビューをして、構造化したものです。(1)参加感を高めるために、シニア社員と上司で相互理解に努める
具体的な関わり方として、「上司自身の仕事観」、「シニア社員に対する想い」、「助けてほしい領域」等を、上司から自己開示することをお勧めします。そして、シニア社員に対しては役割や属性ではなく、一人の人間として向き合いましょう。シニア社員の「強み」、「持ち味」、「仕事上のこだわり」を聞く、見つけることに加え、プライベートにも関心を向けるのです。最後に、シニア社員の持ち味、強みが発揮でき、若手と交流できる出番を意図的につくりましょう。例えば、シニア社員の持ち味、強みが生かせる役割やプロジェクトにアサインすることが考えられます。(2)自信の回復に向けて、メンバーのナレッジを共有する場を定期的に設定する
具体的な関わり方として、「仕事のナレッジ」と、その裏側にある「仕事への考え方、思い、こだわり」についても共有しましょう。そこで、シニア社員の経験や考え方が、組織や周囲に役に立つことを、若手との交流を通じて実感してもらうことが大切です。(3)意欲を高めるためにシニア社員のあり方に焦点を当てて、認知をする
三つ目として、シニア社員の仕事ぶりを、結果、行動、あり方に分けた場合、「あり方」に焦点を当てて認知しましょう。そうすることで、シニア社員の自己肯定感が高まり、意欲が高まりやすくなります。「結果」、「行動」、「あり方」の具体例は下記のとおりです。結果:(例)「新規大型プロジェクトの受注、さすがですね」
行動:(例)「10社を越える新規提案。そのアクションを素晴らしいと思いました」
あり方:(例)「私は、○○さんを、目標に向かって、決して諦めることなく、真摯に取り組む人だと、感じています。そのあり方が、周囲に良い影響を与えていますよね」
さらに、自己肯定感を土台に、どんなことに貢献したいかを問い、その先の目標を一緒につくりましょう。このとき、上司からの「こうあるべき」だけではなく、シニア社員の「こうありたい」も尊重することが大切です。
(4)シニア社員への期待に照らして、明確に要望する
四つ目として、シニア社員の「強み」、「持ち味」のどの部分なら、周囲に貢献できるかを共有しつつ、期待をかけましょう。認知や頼る関わりをメインコミュニケーションとした上で、一対一でしっかりと要望することが必要です。要望する際のステップは、下記のとおりです。【1】期待を明確に伝える
(例)「○○さんには、経験豊富なシニア社員として、ナレッジを若手・中堅社員に展開してほしいと考えています」
【2】現状を客観的に伝える
(例)「自身の仕事は真摯に取り組まれておりますが、そこから得たナレッジを積極的に展開することを、やや避けてしまう傾向があるように私は見えています」
【3】具体的に要望する
(例)「まずは、自身のナレッジの言語化に取り組み、言語化したものをグループ会の場で、展開してほしいです」
【4】相手の意図や認識の尊重をする
(例)「このような期待や要望を聞いて、どのように思われますか?」
以上のことを、まとめたものが下記の図です。
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