今回から数回に分けて、6月にHR総研が2022年卒の「楽天みん就」会員を対象に実施した「2022年卒学生の就職活動動向調査」の結果から、コロナ禍での就職活動を振り返るとともに、さまざまな角度から学生の本音の声をお届けしていこうと思います。第1回目の今回は、プレエントリーから面接までの就職ステップにおけるトピックスを見ていきます。
早期化した22卒学生のプレエントリー
まずは、プレエントリー時期について、2020~2022年卒の同時期調査の結果を比較してみましょう。[図表1]が文系、[図表2]が理系です。例年同様にピークは、文理ともに「当年3月」で、文系で82%、理系で75%となっています。ただ、グラフからも分かるようにどちらも漸減傾向となっており、2020年卒ではそれぞれ86%、85%となっていました。理系に至っては10ポイントも減少したことになります。就職ナビでのプレエントリー受付は、就活ルールにのっとって「3月1日」からになりますが、各企業のホームページではそれよりも早くからプレエントリーの受付が始まっており、就活ルールの「3月1日 採用広報解禁」は完全に有名無実化しているといえます。
活用した就職サイト、「OpenWork」「unistyle」もランクイン
本欄の5月掲載の記事では、3月に実施した「2022年卒学生の就職活動調査」の結果として、「活用している就職サイトTOP10」を文理別に取り上げましたが、今回の調査ではさらに就活活動期を前半(2021年2月まで)と後半(2021年3月以降)に分けて、それぞれで活用した就職サイトを複数選択方式で聞いてみました[図表3]。これらの傾向は2021年卒学生でも同様となっており、学生にとって、従来型の就職ナビの利用目的は、今や「インターンシップ参加登録」がメインとなっており、以前より採用選考のプレエントリーやセミナー参加申し込みのために活用する学生は減少し、インターンシップから選考に進んでしまう学生や、各企業のホームページから直接エントリーする学生、逆求人系サイトを通じた企業からのアプローチに応じる学生等が増えていることが推測されます。この結果、3月以降での利用率が下がることとなり、学生の就職活動における就職ナビの価値が少しずつ変わってきているとともに、就職サイトが多様化する中で、学生は自身が志望する企業情報(エントリーシート情報、選考情報、社員評価等を含む)を効率的に得られるサイトを求めていることがうかがえます。
なお、今回の調査から就職サイトの選択肢に「OpenWork」と「unistyle」を追加したところ、どちらもTOP10に顔を出す結果となりました。ちなみに「OpenWork」は、本来は転職者向けの口コミサイトですが、他サイトにはない社員の口コミ情報を求めて、年々学生の利用が伸び、今ではユーザーの3割は学生になっています。
この2サイトについて、学生の評価コメントを紹介します。
【OpenWork】
・内々定をいただいた企業から、どこを選ぶかを検討する際に口コミ情報が欲しかったため(文系・早慶大クラス)
・実際に働いている方の口コミを見ることができたため、企業選びに大変役立った(文系・上位国公立大)
・会社の強み弱みを現場レベルで知れるから(文系・上位私立大)
・クチコミや企業の経営課題を一目で分かる点が優れていた。グラフで表されている点が他と比較しやすいと感じた(理系・中堅私立大)
【unistyle】
・オープンチャットは、選考中の情報収集がリアルタイムでできるから(文系・旧帝大クラス)
・ESの書き方などをはじめとした就活のいろはを具体例に沿って学ぶことができたため(理系・上位私立大)
・さまざまな先輩方のエントリーシートを見ることができるため。実際に経験した内定までの流れやその際、面接などでどのようなことに気を付けて、どのようなことを聞かれたのかを把握することができるため(理系・早慶大クラス)