経済産業省では、日本企業におけるイノベーション創出の重要性を提言している。だが、実態としてはそうした取り組みがなかなか進んでいない。多くの企業で試行錯誤が続いている。そうした中、2025年に創業140周年というメモリアル・イヤーを迎える南海電気鉄道株式会社では、主力の鉄道事業や不動産事業の深化を図るだけでなく、新規事業の加速を目指してさまざまな施策を展開している。社外の方々を対象とした事業創出支援プログラム「beyond the Border」もその一つだ。どのような特徴を持ったプログラムなのか、人財の確保にどうつなげていくのか。南海電気鉄道株式会社イノベーション推進部長 中川和幸氏部と主任 渡邊理沙氏、人事部 課長 仲矢明子氏にお話を伺った。

第13回 日本HRチャレンジ大賞『採用部門優秀賞』

南海電気鉄道株式会社

社外からアイデアを募り、南海電鉄での事業化ならびに人財確保を目指す事業創出支援プログラム「beyond the Border」の実施

新規事業のアイデアを外部から募り、事業化が決まった際には南海電鉄の社員となり事業推進に専念できるプログラム「beyond the Border」。自走力やチャレンジ精神を持つ人財を集め、一年にわたりその人物像を見極めたのち、最終的に事業と人財の両方の確保を狙えるプログラムとなっており、新卒採用や中途採用とは異なる新たな採用手段にもなる優れた取り組みであると高く評価されました。

プロフィール

  • 中川 和幸 氏

    中川 和幸 氏

    南海電気鉄道株式会社
    事業戦略グループ イノベーション推進部長

    大学卒業後、1996年に南海電鉄に入社し、長らく情報システム部門に在籍。IT子会社時代に自社ノウハウを大手企業に提供する事業を立ち上げた。2019年に創設された新規事業部(現・イノベーション推進部)の初期メンバーとして事業創出と社内起業家育成に携わってきた。2022年eスポーツ事業を加速させるために設立したeスタジアム(株)の代表取締役に就任。2024年4月より現職。

  • 渡邊 理沙 氏

    渡邊 理沙 氏

    南海電気鉄道株式会社
    事業戦略グループ イノベーション推進部 主任

    2018年、南海グループの旅行会社である(株)南海国際旅行に入社し、主に法人営業を担当。
    2021年に実施された、「新規事業開発プログラム(現:事業創出支援プログラム)」に推進者として参加したのち、同プログラムの事務局担当として従事。2022年から南海電鉄へ専任出向し、現在に至る。

  • 仲矢 明子 氏

    仲矢 明子 氏

    南海電気鉄道株式会社
    総務人事グループ HR本部 人事部 課長

    2007年に南海電鉄に入社。人事部門、経営企画部門、共創型まちづくり部門を経て、現職では人財戦略の策定や採用・人財開発・組織開発を担当。「南海グループ人財戦略」のもと、社員が幸せ・充実・成長を感じられる環境づくりを通じて、「南海版イノベーション」への取り組みを促進している。

社外からアイデアを募り「新規事業の創出」と「人財確保」を両立させる――事業創出支援プログラム「beyond the Border」

「社外」からアイデアを募る事業創出支援プログラムを立ち上げた背景とは

――取り組みの内容についてお伺いする前に、まずは推進の役割を担った「イノベーション推進部」の企業内の立ち位置や人事との関係性について教えていただけますでしょうか。

渡邊氏:イノベーション推進部は、2019年に新規事業部という名称で創設され、2024年4月からは事業戦略グループの一部署として位置付けられています。

部署のミッションは2つあります。1つ目は、「新規事業の創出」です。鉄道事業、不動産事業に続く新規事業、第3の柱を創出することを目指しています。2つ目が、事業創造を通じた人財育成です。1つ目のミッションを達成するためにも、起業家マインドを持った人財を育てていく役割も担っています。
社外からアイデアを募り「新規事業の創出」と「人財確保」を両立させる――事業創出支援プログラム「beyond the Border」

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