9月4日、「裏アカウント特定サービス」なる語句がTwitterのトレンドワードに入ったのをご存じでしょうか。2020年9月7日より本サービスの提供を開始すると発表した株式会社企業調査センター(東京都千代田区)によれば、同社は企業向けのリサーチ業務やリスクマネジメント業務を展開している会社で、人事部門向けにはかねてより採用マッチングサービスを提供しているようです。同社が開始したこの新サービスは、調査対象者である就職希望学生や転職希望者が使用しているあらゆるSNSを緻密に調査し、履歴書や表には見えてこないプライベートを含めた“人となり”を調査するというものです。
普段使っているSNSであれば、趣味嗜好やどんな日常を過ごしているのか、どんな考え方をしているかなどを知ることができるが、最近は「就活アカウント」を作り、素の自分を隠して対策を行っているケースが多くなっているため、正しい“人となり”を把握することが困難になっていることから、今回のサービスに踏み切ったとのこと。学生からは、「プライバシーの侵害だ」と非難する声や、「自分の裏アカウントも特定されてしまうのか」と心配する声が多い一方、中には「今日でTwitterをやめます」という学生も現れたようです。
コロナ禍におけるWeb面接の急増により、質疑応答の回答情報には表れない「非言語情報」、あるいは人間性を感じ取ることが困難となっている中、徹底したSNS調査を通じて問題社員の採用をあらかじめ排除できる画期的なサービスだと、同社は説明しているようですが、皆さんはどう思いますか? 利用しますか?
3月以降、利用価値が低下している就職ナビ
さて今回は、HR総研が6月8~18日にかけて、「楽天みん就」会員の就活生を対象に実施した、「2021年卒学生の就職活動動向調査」の結果の中から、学生が活用した就職サイト、志望度が高まった、あるいは下がった企業の制度や取り組みについて紹介します。まずは、学生の就職サイトの利用状況ですが、2019年6月~2020年2月の就活前半に活用した就職サイト(複数選択)と、2020年3~6月の就活後半に活用した就活サイト(複数選択)、さらには2019年6月~2020年6月までの1年間で最も活用した就活サイト(単一選択)に分けて聞いてみました。
文系学生では、2020年2月までの前半は「マイナビ」が90%で最多で、次いで「リクナビ」が81%、「楽天みん就」が69%などとなっていましたが、3月以降の後半になると、「マイナビ」(84%)、「楽天みん就」(75%)、「リクナビ」(73%)と、特にリクナビの利用率が下がり、2位と3位が入れ替わりました[図表1]。また、前半と比較すると、後半は「マイナビ」をはじめとする就職ナビ系の利用率が軒並み下がり、「楽天みん就」などの口コミサイト系や、「OfferBox」などの逆求人型サイト系の人気が上昇、あるいは微減にとどまっていることが分かります。
既にインターンシップ参加企業での選考が進んでいたり、企業ごとの採用ホームページからプレエントリーを開始したりしている学生にとって、3月1日以降に就職ナビからプレエントリーをするのは、自分がそれまで想定していなかった新しい企業を発見した場合が中心となり、結果的に3月以降の就職活動における就職ナビの利用価値が、年々少しずつ下がってきていると推測されます。