いつも考えが先走りする私は、男女雇用機会均等法が制定される5年前の1980年にはすでに、社内にある「女性能力開発部」の解消に取り組んでいました。女性だけの組織はやはり良くないだろうと考えたのです。そして、女性が男性と同様のビジネス能力を持てるよう女性社員教育を強化しようということで、「男女で考える女性と職業シンポジュウム」をスタートさせました。
日本における女性活躍支援の歩みを語ると、1969年に日本事務能率協会が「第1回ウーマンパワーの開発と活用全国大会」を開き、この会合では、電電公社に勤める影山裕子さんがリーダーシップを発揮。しかし、この頃行われた調査やアンケートを見ると、各社の管理者や経営幹部の意見は、女性の活用に「賛成」が70%以上ですが、自社の現状に関しては「あまり活用できていない」が40%近く。ほとんど進んではいませんでした。
多くの企業では「女性社員の能力開発の必要性は認めるが、彼女らは本当に戦力になりうるのか? そもそも短期間の就職であり、長期的な戦力としては期待できない。教育投資も無駄になることもある」という意見が多いのが現実でした。因みに以前は研修ではなく、教育という表現が使われていました。研修という言葉が使われ始めてから、理論の講義より討議や実習技法の活用が進んでいきました。
それに伴って次第に教育研修の技法も多彩になっていきましたが、能力開発や育成の目的の範囲は、さほど広くありませんでした。確かにこうした女性活用支援によって、若い女性社員達の纏め役となる女性リーダーの育成は進み、とくに業務のリーダーや、研修リーダーは数多くなりました。その他には、秘書教育と、販売関係のセールス・ウ―マンや、男性の営業部員達の戦力を最大にするように補佐するセールス・アシスタントなどの育成も盛んになりました。しかし、やはり当時はまだまだ、男性社員の補佐役の立場が主でした。
あの頃から30年ほどたった今日、それがどう変わったでしょうか。現在多くの企業が、女性管理者の育成、選抜、活用計画に対して熱心に動いているのを思うと、私は、今の若い働く女性達に「働き甲斐のある時代がきたから、頑張ってください」と声援を送りたいです。
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