昨年は、人事の世界では大変革の兆しがあらわになってきた時期だったように感じます。安倍政権では、少子高齢化・人口減少の中で日本経済が持続的に成長するための必須条件として雇用改革を挙げ、働き方改革を強力に推進しようとしています。経営に貢献する人事がまさに必要とされています。
また、テクノロジーが進化し、欧米から火がついたHR Techの流れが日本にもどんどん押し寄せるようになりました。製造業においてIoT(Internet of Things)、金融においてFin Techが必須になってきているように、あらゆる産業、業務に、インターネット、テクノロジーの活用が不可欠になってきており、人事もその潮流の影響を免れることはないでしょう。
ビッグデータ、テクノロジーの活用は、ビジネスへの貢献を見える化することにもつながります。逆に言うと、成果がより明確になるということです。ここでも経営に貢献する人事がまさに必要とされてくるでしょう。
次世代の人事、人事サービスとはどのようなものになるのでしょうか。おそらく、「人」を扱うという基本については変わらない部分が残りながらも、働き方の変化やテクノロジーの影響で、これまでの延長線上にはない新たな考え方が求められるなど、ドラスティックな変化があるのではないかと思われます。
今年は、その大変革がより大きく進行する1年になるだろうと予測しています。採用、育成、評価、管理、タレントマネジメント、ダイバーシティ、そして働き方改革、同一労働同一賃金、長時間労働是正など、ありとあらゆる領域において変化が進行するでしょう。しかも、政府が旗を強く振ることで、社会の注目度が極めて高くなっています。人事の活躍が企業価値を大きく左右することになる可能性が高くなっているとも言えます。
本欄では、今年も新卒採用における変化を皆さまにいち早くお伝えしていければと思います。本年も何卒よろしくお願いいたします。
採用苦戦企業の2017年新卒採用の反省は、「採用活動時期の遅れ」が大半
今回も前回に引き続き、HR総研が昨年11月15~22日に実施した「2017年新卒採用&2018年新卒採用動向調査」の結果をご紹介していきます。まずは、2017年新卒採用を振り返ってみて、こうすればよかったと反省していることについて、11月時点で新卒採用活動を継続している企業と、すでに終了した企業とに分けて見てみましょう。
まずは、採用活動継続企業のコメントです。
・広報解禁前にすでに動いていた優秀層との接触が取れなかったため、早めに動き出すべきだったと思う(1001名以上、情報・通信)
・採用説明会を6月以降で実施したが、もう少し早くから開始すればよかった(1001名以上、商社・流通)
・開始時期をもう1カ月早めればよかったと思う。また、内定出し後の内定者フォローを、あまり時間を置かずに行えば違った結果になったと思う(301~1000名、サービス)
・優秀な女性の採用はできたが、男性の採用ができなかった。会社の魅力のアピールに、女性と男性で違いがどのように出るのか、方法に間違いがなかったか検証中(301~1000名、サービス)
・採用活動の早期化を甘く見ておりました。どのような活動であれ、早期に広報を開始し学生との接触を図るべきでした(301~1000名、メーカー)
・もっと早い時期から学生と積極的に接触を持つこと(301~1000名、メーカー)
・内定出しまでのスケジュールを短く(301~1000名、メーカー)
・動き始めるタイミングをもう少し早めればよかった(301~1000名、情報・通信)
・協定を順守して、結果として、出遅れた(301~1000名、情報・通信)
・大手の補欠採用という手段対策で、もっと多めに内定を出すべきだった(301~1000名、情報・通信)
・BtoB企業で知名度がないため、大学との関係強化を図ることによる人材確保(300名以下、メーカー)
・インターンシップをもっと積極的に数多く周知、実施すればよかった。今までインターンシップを取り組んでこなかったので手探り状態から始めたのはよくなかった(300名以下、情報・通信)
・内定辞退者が出ることを警戒していたら、応募者数が前年よりも少なく失敗したと思うので、内定辞退を恐れずに予定数の内定を出したほうがよかった(300名以下、情報・通信)
・採用サイトの充実、ライバル企業との差別化もしくは同等レベルの水準(300名以下、マスコミ・コンサル)
・掲載ナビサイトの選定ミス、本社と支社の2カ所での採用活動で情報共有の不備(300名以下、商社・流通)
300名以下の中小企業では採用活動時期についての反省は少なく、就職ナビの利用やインターンシップ、大学対策など多岐にわたるのに対して、大企業と中堅企業では採用活動の時期の遅れや選考スピードに関する反省が大半を占めています。