教授の顔色うかがう理系学生
【佳作】の残り3作品です。選考の不合格を伝える「お祈りメール」は、誰にとっても受け取りたくないもの。お祈りメールが来ない限りは、まだ選考に残っているという証しであり、お祈りメールが来ないように、自分自身が祈っているというユーモアを交えた作品です。「来ないで」の中には、まだ来ていないメールに対する祈りと、今の受信がお祈りメールでないことを祈るという思いの両方がありそうですね。お祈りメールの多さに悩む学生たちのリアルな心情がユーモラスに表現されていて、採用通知を祈りながら待つ学生の心情が切実に描かれています。
本当は、「お祈りメールが来ないこと」よりも、「合格メールが早く来ること」のほうがストレートな正直な気持ちなのでしょうが、あえて「祈る・祈り」を掛け合わせた点が見事です。
エントリーシートや面接などの事前選考を何とかくぐり抜け、ようやく念願の第一志望の企業のインターンシップに参加できることが決まったものの、その期間は研究室を休む必要が出てきます。そのことを研究室の教授になかなか言い出せない緊張感が詠まれています。教授の顔色を何度もうかがう姿に、理系大学院生ならではの共感を呼びます。
インターンシップなどの就職活動のために、授業や研究の邪魔をされることをよく思わないタイプの教授だったりすると、なおさら休むことを言い出しにくいでしょうね。学業(教授?)とインターンシップ(就活)の両立に悩む理系学生のリアルな心情が伝わる面白い作品です。
選考結果は、面接日に即日連絡があることもあれば、1カ月以上も音沙汰がないこともあります。あらかじめ伝えられていた期限を過ぎても何の連絡もないと、いら立ちと不安が入り混じった気持ちになります。「人事は本当にちゃんと仕事をしているのか、サボっているんじゃないのか、就活生の気持ちも知らずにのんびり作業しているんじゃないのか」といら立つとともに、「もしかしたら、忘れられているんじゃないのか」との不安もよぎり始めます。
長い待ち時間に対する学生の心情が痛切に伝わり、待たされる分だけ志望度が下がる様子が巧みに表現されています。企業の人事担当者には、学生の立場に立って、できるだけ早く結果を連絡してあげてほしいところです。そのほうが志望度、ひいては自社の風評にも悪く影響しませんから。
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