9割近い学生が初任給額を重視
昨年来、既存社員の昇給だけでなく、新卒社員の初任給についても久しぶりに引き上げの動きが顕著になっています。初任給の引き上げが数千円レベルではなく、5万円や10万円以上に及ぶケースもあり、長年据え置きとされてきた初任給水準の実態が改めて注目されることになりました。これまで企業間の初任給差はせいぜい数万円程度でしたが、みなし残業代を含めると20万円前後の開きも出てきています。就活生も初任給関連のニュースに敏感になっていることから、初任給額をどの程度重要視しているか確認しました。文系では、「とても重視している」が41%と、「少し重視している」の48%を合わせた89%が「重視している」と回答しています[図表14]。理系も、「とても重視している」が34%、「少し重視している」が51%で、合わせて85%が「重視している」と回答しています。「あまり重視していない」と「全く重視していない」を合わせた「重視していない」は、文系・理系ともに7%にとどまります。この項目は今回が初めて尋ねたもので、過去データはありませんが、おそらく以前は「重視している」割合はもう少し低く、逆に「重視していない」割合はもう少し高かったのではないかと思われます。学生がこれだけ初任給を注視するようになったことで、企業側は来年度以降も初任給水準をどうするのか、慎重に検討する必要が出てきました。ただし、初任給の引き上げは新卒社員だけではなく、既存社員を含めた総人件費にも影響するため、じっくり時間をかけてシミュレーションすることが求められます。
・残業の量(理系、中堅私立大)
・何時に帰ることができるのか(文系、上位私立大)
・残業や休日出勤の実態を知りたい(文系、その他国公立大)
・有給休暇の取得のしやすさ(理系、その他国公立大)
━━など勤務時間・休暇に関する声が多数あり、具体的な要望として、
・プライベートとの両立(文系、上位国公立大)
・ワーク・ライフ・バランス(文系、旧帝大クラス)
・趣味と仕事の両立(文系、その他私立大)
━━などが挙げられています。中には、
・ペットが病気の際、早期退勤等ができるか(文系、中堅私立大)
・社用スマートフォン等に届いたメールの処理やその時間の扱いなどについて関心がある(理系、その他国公立大)
━━など、細かい点が気になる学生もいるようです。
また、勤務時間・休暇関連以外では、「在宅勤務・サテライトオフィス勤務」(39%)、「仕事と家庭の両立支援制度」(37%)の割合が高くなっています。