研究内容を理解しているかが鍵

最後に、理系学生が選んだ「面接官の印象の良かった会社」トップ10を見てみましょう[図表5]。1位は昨年の圏外から「野村総合研究所(NRI)」、2位には同じく圏外から「日立製作所」、昨年3位の「パナソニック」と「アクセンチュア」の3社が並びました。昨年1位だった「ソニー」と「三菱電機」はともにトップ10入りはなりませんでした。上位企業の理由を見ていきましょう。
第80回 2018年卒学生が選ぶ、印象のよかった「リクルーター・社員」「面接官」とその理由
[1位]野村総合研究所(NRI)
・私の話した内容に対する質問がうわべのものではなく、本質を突いた質問であると感じた(早慶クラス)
・雰囲気が自分と合う人だと感じられた(上位私立大)
・1対1で話を深掘りして聞いてくださった(上位国公立大)
・今後の学生生活でのアドバイスを受けることができた(上位国公立大)
・時間を延長してでもたくさん聞いていただいた(旧帝大クラス)

[2位]日立製作所
・話したことに対して、同調してくれた(上位私立大)
・事前にリクルーターとの面接練習をした上で臨んだので、すでに身内の意識がある面談だったと思った(上位国公立大)
・面接官の方がとても優しかった。こちらの緊張をほぐしてくれた(上位国公立大)
・学生の良いところを探そうとしてくれているのを感じたから。また、面接後に今後活かせそうな助言をいただくことができた(旧帝大クラス)
・こちらの緊張をほぐしながら行ってくれるので、普段どおりの自分が表現しやすかった(その他私立大)
・志望部署と、自分の大学での研究内容に関連がなくても、真摯に話を聞いてくれた。対応が丁寧でしっかりと「人」を見ようとしてくれていた(その他国公立大)

[2位]パナソニック
・研究についての理解度が良かった(上位国公立大)
・話をよく聞いてくれて、話しやすい雰囲気を作ってくれた(上位国公立大)
・自分の研究内容をしっかり理解しようとしてくださっていた(旧帝大クラス)
・不測の事態の対応が素晴らしい(旧帝大クラス)

[2位]アクセンチュア
・自由に仕事を楽しんでいる印象(早慶クラス)
・本当にやりたいことが何なのかを聞いてくださり、その環境があるかどうか真剣に考えてくださった(上位私立大)
・圧迫はなく、終始にこやかに話すことができた(旧帝大クラス)

[5位]NTTデータ
・終始こちらの意図を正しく理解しようとしてくれた(早慶クラス)
・学生の素を引き出すのが非常にうまいと感じられた(上位私立大)
・考えさせられる内容だったため、本当の実力を測られた気がした(上位私立大)
・質問の質が明らかに高い(上位私立大)
・フィードバックが丁寧(旧帝大クラス)

[9位]アサヒ飲料
・良いところを引き出しつつ、深堀りしていくタイプだった。お互いに気持ちよく面接ができたと思う(上位国公立大)
・真摯に聞いてくれた(旧帝大クラス)
・あらかじめ用意してある質問だけでなく、その場で疑問に思ったことを聞いてくれた(旧帝大クラス)

印象の良い面接官には、「面接ではなく会話」「緊張緩和」「深堀質問」「フィードバック」「傾聴」といったキーワードが挙げられます。さらに理系には、当たり前ですが「研究内容の理解」が求められます。「印象が良くなかった理由」も併せて見ておきます。

・圧迫面接、高圧気味
・面接の準備をしてなかったのか、次の質問まで少し沈黙があった
・ひたすら責めることしかしない面接官だった
・頭ごなしにこちらのことを否定してきた
・イライラしているように見える
・無表情で少し圧迫感を感じた。面接中ずっと緊張しっぱなしで言いたいことが言えなかった。その分後悔も大きかった
・上から目線。学生の話を聞いていない。
・時間短すぎ
・質問の意図がまったく分からなかった
・集団面接で、学生によってあからさまに質問数を変えていた
・最終面接で面接官が偉そうに足を組んで観察していた
・通り一遍の質問ばかりで、業務的にこなしている感が否めなかった
・面接官自身の話ばかりでこちらに全然質問してこない
・目を見てくれず、下ばかり見ていた
・面接官が遅れて来たり、さっさと終わらせて行きたがりました
・自分に興味がなさそうなのがすぐに分かった
・プライバシーに関わるところまで聞かれて不快だった
・話を掘り下げようとしない

面接官の態度に関するものが多い一方、面接時間の短さを挙げる学生も少なくありません。学生7人の集団面接で、1組当たり15分では学生が不審がるものも無理はないでしょう。ただ、こちらは面接官個人の問題ではなく、会社としての面接の設計の問題になります。今一度、面接のやり方自体の見直しもしてみてはいかがでしょうか。
入社志望度に与える影響度では、「リクルーター・社員」以上に「面接官」の影響が高くなっています[図表6]。「非常に影響した」「影響した」の回答を合計すると、文系では実に93%、理系でも87%と、「リクルーター・社員」よりも10ポイント以上も高くなっているのです。
第80回 2018年卒学生が選ぶ、印象のよかった「リクルーター・社員」「面接官」とその理由
短期間に大量の応募者の選考を求められる新卒採用においては、面接官は人事部門だけでなく、他部門の若手社員や管理職にも協力を仰ぐ企業が多いことでしょう。求める人物像を共有するとともに、面接の上手な進め方、面接でやってはいけないことを徹底する必要があります。また、面接は企業が自社にふさわしい人材を見極める場であるだけでなく、学生からも企業選別の場になっていることをあらためて認識してもらうことも忘れてはなりません。

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