文系以上に活動量が伸びた理系
ここからは、「プレエントリー」「セミナー・会社説明会」などの就職ステップの状況について、24年卒調査の結果と比較しながら(24年卒調査→25年卒調査)見ていきます。まずは、「プレエントリー社数」の状況について、文系・理系ともに「0社」の割合がそれぞれ5%→10%、8%→10%へと増えており、逆に「1~20社」はそれぞれ51%→46%、69%→59%へと減少しています[図表10]。インターンシップ参加企業では、プレエントリーやエントリーシートを免除している企業も少なくありませんから、「0社」が微増していることは理解できます。「21~40社」については、文系・理系ともに24年卒調査とほぼ同割合となっている一方、理系では「41~60社」が7ポイント増加しており、「101社以上」の状況を見ても、プレエントリー数は増えているといってよさそうです。文系においても「101社以上」が3ポイント増となるなど、増加傾向にあるといえます。
4月25日に発表されたリクルートワークス研究所の「第41回 ワークス大卒求人倍率調査(2025年卒)」によると、2025年卒の大学卒求人倍率は1.75倍と、2024年卒の1.71倍より0.04ポイント上昇するなど、景気の回復に連動して、企業の採用意欲は依然高く推移しているものの、学生はそれに踊らされることなく、就職活動に取り組んでいるようです。かつてのバブル期のように、誰もが景気の良さを実感できた極端な景気拡大期と違い、現在は賃上げが物価上昇に追いついておらず、学生を含めた国民全体にあまり景況感改善の実感が伴わない景気回復期となっていることも要因と考えられます。
文系では、「0社」が13%→17%に増えており、「6~10社」と並んで最多の割合となっています[図表11]。「0社」が増えているのは、インターンシップ自体がセミナー等の役割も果たし、インターンシップへの参加からそのまま早期選考に流れていく層が増えていることが影響していると推測されます。[図表10]のプレエントリー社数において、「0社」が増えていたのと同様です。「6~10社」は、24年卒調査で最多だった22%から5ポイント減少しており、依然として最多割合ではあるものの2割にも満たない結果となっています。「6~10社」のほかにも、「3社」(10%→4%)や「4~5社」(18%→11%)も前年より減少しており、それに代わって「11~15社」「16~20社」「21社以上」といった社数の多い区分が軒並み増加しており、全体としては文系のセミナー等参加社数は増加傾向にあるといえるでしょう。
一方、理系では、文系と違って「0社」は13%→12%とわずかながら減少しています。そのほか、「2社」(12%→7%)、「3社」(11%→10%)、「4~5社」(16%→7%)、「6~10社」(26%→22%)といった比較的社数の少ない区分においても軒並み減少しています。24年卒調査で最も多かった「6~10社」は、ポイントは減少したものの2割以上を維持し、今回25年卒調査でも最多となっています。社数の多い区分である「11~15社」は8%→17%、「16~20社」も4%→12%へと大幅に増加しており、「21社以上」も2ポイントの増加を見せるなど、理系では文系以上にセミナー等参加社数が伸びているようです。プレエントリーのところでも述べましたが、理系におけるこれらの活動量の増加は極めて意外な結果といえます。
「大学3年6月以前」とする回答が、文系で16%→25%へと大きく増加するとともに、理系でも21%→22%へと微増しています[図表12]。また、理系においては、「大学3年8月」が12%→22%へとほぼ倍増したほか、「大学3年9月」も2%→8%へと大きく増えています。「大学3年9月」までにセミナー等への参加を開始した理系学生の割合は、既に69%とほぼ7割に達しており、24年卒調査の49%から顕著な増加となっています。「大学3年9月」までの割合が52%でようやく半数に届いた文系とは、大きな差が開く結果となりました。[図表8]のインターンシップ参加時期でも見たように、理系においてはセミナー等への参加においても長期休暇の夏期休暇中に就職活動を集中して進めようとしている意思がうかがえます。
一方の文系では、「大学3年9月」から開始した割合は9%→3%へと減少しており、「大学3年9月」までに開始した割合は、24年卒調査の51%から微増にとどまっています。文系では「大学3年12月」が8%→13%と増加しており、「大学3年6月以前」に次いで高い割合となっています。