ProFuture代表の寺澤です。
5月16日に、企業向け研修事業等を展開する株式会社ジェイックが、企業の人事責任者・担当者を対象に実施した「優秀と感じる新入社員の特徴」に関するアンケート調査の結果を発表しました。この調査では、新入社員の「行動」「仕事への姿勢」「ビジネスマナー」の3項目について質問がなされています。
第159回 25卒生が企業選びで重視する「仕事・会社・雇用」の魅力とは。調査から見る“採用ブランディング”のヒント
「行動」面では、1位が「わからないことをすぐに聞ける」(57.7%)、2位が「社員と積極的にコミュニケーションをとる」(43.3%)、3位が「失敗や学んだことについて振り返りができる」(39.4%)となっています。次に「仕事への姿勢」面では、1位が「学びや経験を振り返り、工夫・改善する姿勢」(57.7%)、2位が「責任感を持って仕事に取り組む姿勢」(50.0%)です。一方、「ビジネスマナー」面に関しては、「明るい挨拶ができる」(60.6%)が1位、「報連相ができる」(51.9%)が2位となっています。

同社の分析によると、企業の人事は新入社員に対し、「主体的に周囲へ自ら声を掛けること」や「学びや経験を今後に活かすこと」、「素直さや前向きな姿勢」を求める傾向にあるとのことです。今春の新入社員は、大学時代の長期にわたりコロナ禍の影響でオンライン授業が主体となり、普段の生活でも対面コミュニケーションが制限されていたため、そのスキルに課題を抱えるケースも少なくありません。そのため、効果的なオンボーディングを実施する上では、新入社員を迎え入れるに当たり、上司や先輩がこうした背景を十分に考慮して対応することが求められます。

貴社が「優秀と感じる新入社員の特徴」は何ですか?

安定志向が高まる「会社の魅力」

さて、今回は、前回に引き続き、HR総研が「楽天みん就」(現「みん就」)と共同で実施した「2025年卒学生の就職活動動向調査」(2024年3月6~21日。以下、25年卒調査)の結果を紹介します。ぜひ参考にしてください。

まず、学生が企業を選別する際、何を最も重視しているのかを、「仕事の魅力」「会社の魅力」「雇用の魅力」の三つの観点から見ていきます。

「仕事の魅力」で最も重視しているのは、文系・理系ともに「仕事が面白そう」で、それぞれ33%、37%と3割台となっています[図表1]。次いで「勤務地を選べる」が、文系19%、理系20%で続きます。理系は「スキルが身につく」も同様に20%で、文系でも17%と3番目に多くなっています。この設問を初めて聞いた2022年卒向け調査(以下、22年卒調査)の結果では、1位は今回25年卒調査と同じく「仕事が面白そう」で、文系・理系ともに3割台となっていました。ただし、次に多かったのは、文系では「スキルが身につく」(18%)、理系では「希望する職種につける」(21%)で、「勤務地を選べる」は文系15%(3位)、理系12%(「若いうちから活躍できる」と同率4位)にとどまっていました。特に理系において、「勤務地」へのこだわりが強くなっていることがうかがえます。
[図表1]学生が最も重視する「仕事の魅力」
次に、「会社の魅力」について見てみましょう。“最も重視する”と回答した割合が高かったのは「安定している」で、文系・理系ともに49%とほぼ半数に及びます[図表2]。22年卒調査でも文系・理系ともに最多ではありましたが、その割合は文系42%、理系30%であったことを考えると、より安定志向が強くなっていることが分かります。特に、理系においてその傾向が顕著です。その他、文系・理系では「成長性が高い」(それぞれ20%、15%)や理系では「技術力・サービスが優れている」(20%)の割合も比較的高くなっています。22年卒調査と比較して気になるのは、「経営者・ビジョンに共感」のポイントの低下です。理系はそれほど変わりませんが(11%→10%)、文系は21%→9%へと12ポイントも減少し、半分以下になっています。近年、企業は「パーパス経営」の名の下にパーパス(理念・ビジョンを含む企業としての目的意識、存在意義)を非常に重要視して採用活動でも丁寧に説明し、ミスマッチを低減する意味で、パーパスへの共感を応募者に求めるようになっています。しかし、学生にとっては、「経営者・ビジョン」よりも「安定性」が重視されているようです。
[図表2]学生が最も重視する「会社の魅力」
「雇用の魅力」では、圧倒的な支持を集めた項目はなく、また、文系と理系で傾向が異なります[図表3]。文系で最も多かったのは「社風・居心地が良い」で33%、次いで「福利厚生がしっかりしている」が28%です。理系では「年収が高い」が最も多く29%と約3割を占め、次いで「社風・居心地が良い」(24%)、「福利厚生がしっかりしている」(22%)が続きます。22年卒調査では、文系・理系ともに「福利厚生がしっかりしている」が最多で、それぞれ35%、40%でした。理系の「年収が高い」は17%にとどまっており、「福利厚生」から「年収」への関心の移行が見られます。一方、文系では、「福利厚生がしっかりしている」は7ポイント下がっていますが、「社風・居心地が良い」は22年卒調査でも31%と高く、「社風」への関心は変わらないようです。
[図表3]学生が最も重視する「雇用の魅力」

最大のアピール項目は「チームで働く力」

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