インターンシップの参加者獲得でも苦戦する中小企業
インターンシップについても考察してみましょう。まず、2025年卒採用に向けたインターンシップの実施状況について、全体では「前年は実施していないが、今年は実施した」と「前年同様に実施した」を合計した“実施した”が64%となっています[図表9]。従業員規模別に見ると、大企業ではこの割合が85%達し、「前年は実施したが、今年は実施していない」と回答した企業は皆無でした。中堅企業・中小企業における“実施した”とする割合は、それぞれ68%、49%と大企業を下回り、例年と同じく従業員規模による差が明確に表れています。復活基調の「大学ルートの活用」
次に、コロナ禍の数年間は一時的に下火となっていましたが、前記[図表7]で見た“重要になると思われる施策”の中で、すべての従業員規模で注目されている「学内企業セミナー」について見ていきましょう。2025年卒採用に向けた学内企業セミナーへの参加大学数について、「減らす」と回答した企業は皆無でした[図表11]。また、「増やす」と回答した割合は、中堅企業で11%、大企業と中小企業ではそれぞれ22%、23%と2割以上に上っています。「2023年9月」にセミナーのピークを迎えた大企業
次に、プレエントリー数の前年比較の結果を見てみましょう。全体では「前年並み」が66%で半数以上を占めます[図表13]。一方、「前年同時期より多い」(8%)は、「前年同時期より少ない」(25%)の約3分の1にとどまります。最後に、個別企業セミナー・説明会について、まずは[図表14]で開催時期(複数回答)の従業員規模別の結果を見てみましょう。
大企業では「2023年6月以前」が33%となるなど、早期から開催するところが多く、2023年「9月」には41%と開催のピークを迎えています。就活ルールで会社説明会が解禁となる2024年「3月」は28%にとどまり、同年「2月」の33%を下回るとともに、ピークの2023年「9月」を除く同年「7月」から「2024年1月」までの23~26%とさほど変わらない割合となっています。2024年「4月」以降は2割を下回る見込みです。
中堅企業では、「2023年6月以前」は15%ですが、その後は20%以上が続き、「2024年1月」に33%で3割台、2024年「2月」に43%で4割台となり、ピークの同年「3月」には48%と5割近くに達します。同年「4月」以降は徐々に低下していきますが、同年「7月以降」も20%をキープしています。
一方、中小企業では、2023年内は「10月」に1度だけ13%で1割台となるものの、「2023年6月以前」から2023年「12月」まで1割未満となり、「2024年1月」になってようやく1割台となり、個別企業セミナー・説明会の開催が本格化し始めます。2024年「3月」に34%でピークに達し、同年「4月」も31%と3割台をキープ、同年「5月」以降も2割前後となる見込みです。大企業の会社説明会が落ち着くのを待つかのように、採用活動が本格化する形となっています。中小企業では「セミナー・説明会の開催なし」が30%に達していることも特徴です。
続いて従業員規模による違いを見ておきましょう。大企業では、「対面形式とオンライン形式の両方を実施」が73%と圧倒的多数であり、時期や内容により対面形式とオンライン形式を使い分けていることがうかがえます[図表15]。「すべて対面形式で実施」は14%にとどまりますが、一方の「すべてオンライン形式で実施」も同割合となっており、コロナ禍には「すべてオンライン形式で実施」に大きく舵(かじ)を切った大企業の方向転換の傾向が顕著に表れています。
中小企業では、「すべて対面形式で実施」が36%で他の規模を大きく上回るとともに、「対面形式とオンライン形式の両方を実施」もこれと同割合となっています。中小企業というと“対面形式”が主流というイメージがありますが、「すべてオンライン形式で実施」も29%と3割近くあります。なお、「対面形式とオンライン形式の両方を実施」について、従業員規模が小さいほど割合が低くなっていますが、これは特に中小企業の場合、セミナー・説明会のプログラム自体を幾つも用意しているわけでなく、一つ・二つ程度のメニューを繰り返し実施しているケースが多いためと推測されます。
次回は、今回の続きと合わせて、就活生を対象に実施した「2025年卒学生の就職活動動向調査」の結果もご紹介します。