新卒のスカウトサービスを展開する株式会社ABABAが、1月31日~2月9日、2024年卒業予定の学生を対象に、“志望度の高い企業から不採用通知(いわゆる「お祈りメール」)を受け取った時の感情に関する調査”を実施し、3月1日にその結果を発表しました(有効回答数300人)。それによると、就活生の89%が志望度の高い企業の選考で不採用になった経験があり、そのうち97%が不採用の連絡をメールで受け取ったことがあるとしています。
一方、不採用メールを受け取った学生の10%が、その企業を「好きになった」と回答していることにも注目すべきです。このような学生からは、“結果的に落ちたけど、選考で出会った面接官がみんないい人だったから今も好き”といった声も聞かれます。また、不採用通知の連絡で「温かさ」を感じたとする学生からは、“人事が個別に応援メッセージをくれて励ましてくれた”、“自分が面接で話した内容が書かれていて、覚えていてくれたことが嬉しかった”などの評価が寄せられています。書類選考や1次選考のように大量に不合格者が出てしまう場合は難しいかもしれませんが、少なくとも最終面接にまで残った学生に対しては、お祈りメール1本で済まさず、学生に真摯(しんし)に向き合った温かい対応をしてあげてほしいものです。
「内定者充足率7割以上」の企業が7割
さて、今回は、HR総研が企業の採用担当者を対象に実施した「2025年新卒採用動向調査」(2024年3月4~19日。以下、3月調査)の結果をお届けします。ぜひ参考にしてください。まず、本題の2025年卒採用に進む前に、2024年4月入社の採用計画における内定者充足率について見てみましょう。全体では、計画数を達成した割合が「100%以上」の企業は26%で、本稿で1月に報告した12月調査からはわずか1ポイントの増加にとどまりました[図表1]。また、「90~100%未満」が19%(12月調査から1ポイント減)、「80~90%未満」が14%(同3ポイント増)、「70~80%未満」が10%(同2ポイント増)となり、これらを合計した「採用計画数に対して7割以上」は69%とほぼ7割になりました。12月調査時点では、従業員規模を問わず約半数の企業が採用活動を続けると報告され、この3カ月間での採用活動の進展が示唆されています。一方、内定者が1人もいない「0%」の企業は前回と同じく10%で変化はありませんでした。
従業員規模別に見ると、1001名以上の大企業では、「100%以上」と「90~100%未満」を合わせた「採用計画数に対して9割以上」の割合が前回の59%から62%へと3ポイント増加しました。301~1000名の中堅企業では、前回最多だった「90~100%未満」よりも「100%以上」が5ポイント増の22%となり、採用活動の進展の跡が見られます。また、300名以下の中小企業では、「100%以上」は33%で変化はなかったものの、「採用計画数に対して7割以上」の割合が前回から14ポイント増の66%に増加し、採用活動の進展がうかがえます。